パニック買いでガソリン価格急騰、売り切れ続出 米石油パイプライン攻撃受け

ガソリンスタンドで給油する人々=10日、米ノースカロライナ州エリザベスタウン/Andrew Sherman/Bloomberg/Getty Images

2021.05.12 Wed posted at 11:54 JST

ニューヨーク(CNN Business)  米石油パイプライン大手コロニアル・パイプラインの操業を停止させたサイバー攻撃を受けて米東海岸で買いだめの動きが広がり、燃料が売り切れるガソリンスタンドが続出している。

燃料価格・需要調査アプリの「ガスバディ」によると、現地時間の11日午後4時現在、ノースカロライナ州で8.5%、バージニア州では7.7%のガソリンスタンドでガソリンがなくなった。同日午前11時と比較すると、バージニア州は横ばい、ノースカロライナ州は5.8%から増加した。

ガソリンスタンドの供給停止はジョージア州(5.8%)、フロリダ州(2.8%)、サウスカロライナ州(3.5%)で報告されている。

ガスバディのアナリスト、パトリック・デ・ハーン氏はCNNビジネスの取材に対し、パニック買いがガソリンスタンドを枯渇させていると分析。不合理な行動のために、供給問題が何週間も長引く可能性があると語った。

自動車保険会社AAAカロライナズのティファニー・ライト氏は、「一家全員の車でガソリンスタンドにやって来て、必要もないのに満タンにしていく」と無責任な行動を批判。「この状況で自分たちにとっての最大の敵は、ガソリンスタンドで過剰消費している我々自身だ」と憤る。

米エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は11日、ホワイトハウスで行った記者会見で「パンデミック当初にトイレットペーパーを買いだめする理由がなかったように、ガソリンを買いだめする理由はない」と述べて買いだめを思いとどまるよう国民に促し、「パイプラインは今週の終わりから週末までに大部分の操業を再開するはずだ」と強調した。

ガソリン供給状況に関する情報への需要も急増してガスバディのアプリやウェブサイトも障害に見舞われ、断続的につながりにくくなっている。

ガスバディによれば、10日のガソリン価格は米全体で前週に比べて20%急騰した。

コロニアル・パイプラインがガソリンを供給しているジョージア州など東海岸の5州では、需要が40.1%増大している。

ガソリンスタンドで給油する人々=10日、米ノースカロライナ州エリザベスタウン

フロリダ州に住むリンダリー・ベドヤさんは11日、「自分が出勤することも、娘を学校に送ることもできなくなるかもしれないと不安に襲われる」「地元のガソリンスタンドはどこもガソリンがない。やっと見つけた店では1時間並んで 無鉛プレミアムガソリンを入れなければならなかった」と証言した。

ガスバディによると、アラバマ州とテネシー州でもガソリンスタンドの1%未満で供給停止が起きている。

AAAによると、11日のガソリン販売価格は全米で2.985ドル(約325円)となり、ほぼ6年ぶりの高水準となった。

バージニア州のラルフ・ノーサム知事は11日午後、コロニアル・パイプライン操業停止への対応準備と調整のため、緊急事態を宣言した。

ジョージア州のブライアン・ケンプ知事は、価格高騰への対応を支援するため、州のガソリン税を停止する知事令に署名した。

ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事も10日夕、緊急事態を宣言した。

米環境保護局(EPA)は11日、燃料不足の緩和を目的とした緊急燃料免除措置を発令。マイケル・リーガン長官は「極端かつ異常な燃料供給状況」を理由に、コロンビア特別区とメリーランド、ペンシルベニア、バージニアの各州の燃料小売りに対する特定の連邦規制を免除すると発表した。この措置は今月18日まで継続する。

ガソリン需要が急増、 米石油パイプライン攻撃でパニック買い

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