ニューデリー(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大で連日数千人の国民が死亡する中、インドのモディ首相は18億ドル(約1960億円)規模の議会の改修計画を予定通り進めようとしている。計画により自身の住居も新しくなる見通し。
首都ニューデリーで行われる同計画を継続するとの決定は、世論の激しい怒りを買っている。野党の政治家は、国内が史上最悪の公衆衛生上の危機に苦しむ状況で、議会の建設工事に巨額の費用をつぎ込むのは明らかに不適切だと指摘する。
当該の建設計画は「必要不可欠の事業」と位置付けられ、他の大半の計画が中止に追い込まれる中でも継続が認められている。
5日には市民2人がニューデリーの高等裁判所に提訴して、計画の中止を求めた。同市は現在、感染抑止のための封鎖措置を実施中。
原告らは、議会の建設工事を必要不可欠の事業とは見なせないと主張。建設作業が感染爆発を引き起こす恐れがあるとも指摘した。
高裁は今月中に審理を行うと申し出たが、原告側は「状況の重大さを認識していない」として、すでに訴えを最高裁に持ち込んだ。原告側の弁護士によると、7日にも審理が行われる公算が大きいという。
世界保健機関(WHO)の週別の報告によれば、インドではここ数日の新型コロナ関連の死者が軒並み3000人を突破。過去1週間で記録した世界の死者数の4分の1を同国の犠牲者が占めた。
感染の第2波が猛威を振るう以前から、議会の改修工事には批判の声が上がっていた。工事面積は35ヘクタールで、先週公表された議事録では、工期に推計4万6700人の作業員が一時雇用される。
計画の推進派は議会の建物が築100年となり、使用目的に適さない状態だと主張。これに対し反対派は、歴史や伝統を顧みない、虚栄心を満たすための計画だとこき下ろしている。