(CNN) 国連開発計画(UNDP)はこのほど発表した報告書で、ミャンマーの貧困率が今年中に5割近くまで上がるとの予測を示した。
UNDPによると、同国では新型コロナウイルス感染拡大と軍事クーデターで経済、治安状況が悪化。このまま改善されなければ、1日1.10ドル(約120円)未満で生活する貧困層は来年初めまでに2500万人、人口の48.2%にも達する恐れがある。
同国の貧困層は最近まで順調に縮小していた。特に2011年の民政移管以降は経済、政治改革が進み、貧困率は05年の48.2%から17年には24.8%まで下がっていた。ただしアジアの最貧国であることに変わりはなく、人口の約3分の1は一発の経済的打撃で貧困状態に転落しかねない状況にあった。
そこへ昨年、新型ウイルスの感染拡大が襲った。小規模事業者の多くが影響を受け、昨年12月までに出稼ぎ労働者42万人以上が帰省を余儀なくされた。年末の時点で収入が半減した世帯は、全体の83%に及んだ。
UNDPの推計によると、感染拡大の影響だけでも貧困率は36.1%まで上昇するとみられた。さらに軍事クーデターと、それに対する抗議デモへの弾圧が追い打ちをかけている。
危機的状況がこのまま続けば、特に都市部の貧困率は3倍に膨れ上がることが予想される。子どもたちの心身や教育面、経済面への深刻な影響も懸念される。
女性が生計を担う世帯への影響も大きい。多くの女性を雇用する衣料品業界などが打撃を受け、病人の看護や子育てで働けなくなる女性も多いためだ。
UNDPの報告書は同国の状況について、ウイルスとクーデターの打撃で経済が崩壊し、アジアの次なる破たん国家となる瀬戸際にあると結論付けている。