米外交官襲った「見えない攻撃」、ホワイトハウス付近でも発生か 連邦当局が捜査

芝生広場のエリプスとホワイトハウスの空港写真=米ワシントンDC /Shutterstock

2021.04.30 Fri posted at 12:24 JST

ワシントン(CNN) 米首都ワシントンのホワイトハウス付近など米国内の少なくとも2カ所で、正体不明の「見えない攻撃」に似た事案が発生し、連邦当局が捜査している。過去の事案では、海外に駐在する米外交官数十人が原因不明の症状に見舞われていた。

複数の関係者がCNNに語ったところによると、この件については国防総省など複数機関が調査したが、確固たる結論は出なかった。それでもホワイトハウス近くでそうした攻撃が発生した可能性があることに対し、特に警戒を強めている。

国防当局者は今月、上院と下院の軍事委員会でこの問題について説明した。複数の関係者によれば、ホワイトハウスの南側にある広大な芝生広場のエリプスで昨年11月に起きた事案では、国家安全保障会議(NSC)の高官1人が症状を訴えた。

これとは別に、2019年にはホワイトハウスの職員が、首都に近いバージニア州の郊外で犬の散歩中に同じような攻撃に遭ったと伝えられている。

ホワイトハウス付近でも「見えない攻撃」に似た事案が発生し、連邦当局が捜査している

いずれの症状も海外で被害に遭った中央情報局(CIA)要員や国務省職員と似ていたことから、当局は「ハバナ症候群」攻撃だった可能性があるとみて、ただちに捜査を開始した。この名称は、キューバ駐在の米外交官が2016年に経験した原因不明の症状に起因する。外交官らは耳鳴りやめまい、激しい頭痛、吐き気などの症状を訴えていて、原因不明の「突き刺すような騒音」を伴うこともあった。

首都ワシントン周辺では、米国内で起きた同じような事案についてのうわさが以前から飛び交っていた。キューバのほかにロシアや中国に駐在する米外交官やCIA要員も似たような攻撃によるものと思われる被害に遭っているが、これまでの捜査では、米国内で起きた一連の事案と、海外で起きた事案との間に関係があるかどうか断定することはできておらず、背後関係も分かっていない。

軍事委員会で証言した国防当局者は、ロシアが関与した可能性に言及したものの、確固たる証拠は示さなかった。当時の捜査にかかわった別の元高官は、中国の関与も疑われると語った。

一連の症状を引き起こした原因について、これまでのところ一致した見解はない。しかし国務省の助成を受けた研究では、マイクロ波エネルギー攻撃だった可能性が大きいと結論付けていた。

「見えない攻撃」 米連邦当局が捜査

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