ナバリヌイ氏がビデオで出廷、ハンスト後初めて公の場に 自身を「骸骨」と語る

裁判にビデオ通話で出廷したアレクセイ・ナバリヌイ氏/Press Service of Babushkinsky District Court of Moscow/Handout/Reuters

2021.04.30 Fri posted at 11:24 JST

モスクワ(CNN) ロシアで収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏は29日、モスクワで行われた自身の裁判にビデオ通話で出廷した。数週間に及んだハンガーストライキ以降、同氏が公の場に姿を見せるのは初めて。

目に見えてやせ細ったナバリヌイ氏は、名誉毀損(きそん)に問われている裁判の席でプーチン大統領とその政権を痛烈に非難。同大統領を童話の「裸の王様」に登場する王様になぞらえて揶揄(やゆ)したほか、裁判官や検察を「裏切り者」と批判した。

ナバリヌイ氏は2月、別の犯罪に関連した仮釈放の条件に違反した罪で収監された。条件を守らなかったとされた当時、ドイツに滞在中だった同氏は化学神経剤「ノビチョク」による体調不良からの回復途上にあった。同氏はロシア政府が自分の命を狙っていたと主張するが、政府側はこれを再三否定している。

ナバリヌイ氏は「適切な医療」と外部の医師による診察を求め、3月31日から刑務所内でのハンガーストライキを実施したが、先週になり最終的に治療を受けられたとして中止していた。

ナバリヌイ氏は実際に裁判に出席した妻のユリア・ナバリヌヤ氏に対し、自身の現在の体重や直近で何を食べたかを詳しく語った。

公判で「身ぎれい」に見えるよう、入浴施設に連れていかれたとも明かした。

「自分の姿を眺めた。恐ろしい骸骨(がいこつ)そのものだ。体重を計ると72キロだったが、たぶん中学1年生のときと同じくらいだろう」(ナバリヌイ氏)

ナバリヌイ氏の妻ユリア・ナバリヌヤ氏(写真・前列左)もロシア・モスクワの法廷に出席した

弁護士によるとナバリヌイ氏の体重は、ドイツからモスクワに戻った1月時点で94キロあったという。

また、ナバリヌイ氏は食事について「1日にスプーン4杯のポリッジ(オートミールなどを水や牛乳で煮たかゆ)を食べる。今日は5杯。明日は6杯食べる予定だ」と付け加えた。

この日最後の陳述ではプーチン大統領を痛烈に批判。「王様は裸だと言いたい。男の子1人がそう叫んでいるのではない。今や数百万もの人々が声を上げている。一目瞭然だ。20年間続いた無能な統治がこうした事態を生んだ。王冠は彼の耳からずり落ちている」と強調した。

ロシア国内ではナバリヌイ氏の収監やハンスト実施を受けて、政府に対する大規模な抗議行動が起きている。

さらにナバリヌイ氏はプーチン大統領について「国のことを顧みず、権力にしがみついている。永久に支配者でいたいと欲している」と述べた。

検察側や発言を止めようとした裁判官らに対しても「全員裏切り者だ」と主張した。

ナバリヌイ氏は2月20日、第2次世界大戦の退役軍人の名誉を毀損したとして有罪判決を受けた。94歳のこの退役軍人は、物議をかもしたロシアの憲法改正の支持者として国営テレビの動画に出演。昨年6月にナバリヌイ氏が動画への批判をソーシャルメディアに投稿していた。

29日の公判で、裁判官は上記の有罪判決を支持した。

ナバリヌイ氏がビデオで出廷、ハンスト後初めて公の場に

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