豪、州政府の「一帯一路」参加協定を破棄 中国は反発

記者会見を行うオーストラリアのペイン外相=22日、ニュージーランド・ウェリントン/Hagen Hopkins/Getty Images

2021.04.23 Fri posted at 12:06 JST

香港(CNN Business) オーストラリア政府は23日までに、ビクトリア州政府と中国が締結していた巨大経済圏「一帯一路」構想に関する協定を破棄すると発表した。両国政府間における通商、外交上の緊張関係に拍車がかかるとみられる。

国内第2の人口と経済規模を有するビクトリア州は2018年10月、同国の州として唯一、中国政府と結ぶ「一帯一路」構想に関する覚書に署名した。将来にわたり、両者の間での投資や貿易を促進する狙いがあったとみられる。

しかし21日夜、オーストラリアのペイン外相は、連邦政府が国内の州及び準州と外国政府との協定を「1000件以上」精査したと発表。その結果、中国と交わした2件、イラン、シリアとそれぞれ交わした1件の計4件を破棄したことを明らかにした。これらの協定はいずれもビクトリア州との間で締結されていた。

同外相は声明で、「これら4件の協定はオーストラリアの外交政策に合わないか、外交関係上の弊害になると考える」と述べた。今回の措置は、昨年12月に成立した新法を根拠としたもの。専門家は同法について、ビクトリア州と中国の協定を直接狙い撃ちにするために成立されたとの見方を示していた。

ペイン氏は23日に出演したラジオ番組で協定破棄の決定に言及し、特定の国を念頭に置いた措置ではないと説明した。しかし在豪中国大使館は声明で協定破棄を非難。中国政府として「強い不満と断固たる反対」を表明するとした。

3月、中国は豪州産ワインに最大218%の制裁関税を課すと発表した

中国とオーストラリアはすでに外交上の危機の渦中にある。発端は昨年4月、オーストラリア政府が新型コロナウイルスの起源に関する国際的な調査を呼び掛けたことだった。

以来、中国政府はオーストラリア産の木材や牛肉、石炭の一部の輸入を制限。ワインに関しても「ダンピング(不当廉売)」の疑いがあるとして、5年間にわたり最大218%の制裁関税を課す方針を確認した。

また中国の対豪投資は昨年62%減少し、7億7500万ドル(約836億円)規模に落ち込んだ。

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