(CNN) ロシアのプーチン大統領は21日、年次教書演説を行い、いかなる国もロシアの「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えようと考えないことを望むと警告した。一方、国内各地では拘束中の反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏を支援する集会が始まった。
プーチン氏は首都モスクワで議員を前に行った演説で、「我が国の核心的な安全保障を脅かす挑発を画策する者は誰であれ、これまでになく後悔することになるだろう」と述べた。
また「ロシアに対する非友好的な行動はとどまることを知らない」と言及。ロシアは「真の友好関係を受け入れる『歓迎する』国家」であるにもかかわらず、「可能なあらゆる機会にロシアをやり玉に挙げるのが通例」になっていると主張した。
ウラジオストクでナバリヌイ氏支持のデモを行う人々=21日/PAVEL KOROLYOV/AFP/GETTY IMAGES
さらに、ロシアは最大限自制して非友好的な行動にもあまり反応しないが、何が起きているかは見ていると言及。「橋を燃やしたくはない。しかし、我が国の意図を無関心や弱さと捉える者がいれば、我々には橋を燃やすか爆破する用意がある。ロシアの対応は非対称的かつ迅速で厳しいものになるだろう」としている。
現在、ロシアと西側主要国の間では緊張が高まっている。米国は先週、2020年米選挙への介入や政府機関などへの大規模サイバー攻撃、クリミア半島で続く占領と「重大な人権侵害」を理由に、ロシアに対する包括的な制裁を発動した。
米国と欧州連合(EU)はまた、3月31日からハンガーストライキを続けるナバリヌイ氏へのロシア当局の対応を非難した。
ナバリヌイ氏の支持者は21日、同氏釈放を求める全国規模のデモを呼び掛けた。ナバリヌイ氏は今週、健康状態をめぐる懸念が高まる中で、刑務所からモスクワ東郊にある受刑者向きの病院に移送されていた。
独立した監視団体「OVDインフォ」によると、米東部時間午前10時半の時点で、このデモに関連して数十都市で計200人近くが拘束された。各地のデモはロシア極東を皮切りに始まり、同正午にはモスクワでも行われる予定。
ノボシビルスクでナバリヌイ氏支持のボードを掲げる人々/Kirill Kukhmar/TASS/Getty Images
内務省は市民に対しコロナウイルスによる制限があると述べ、「許可のない行動に参加しないように」と警告している。
プーチン氏は演説でナバリヌイ氏に言及しなかった一方で、隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領に対するクーデターや暗殺の計画の話に触れ、「西欧諸国のいわゆる一致団結した非難は見られない」と指摘した。
演説ではこのほか、新型コロナワクチンの接種の呼びかけや気候変動への取り組みへの言及もあった。