(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」が米国時間の19日、火星で行った初飛行に成功し、地表に無事着陸した。地球以外の惑星で、動力による制御された飛行を実施したのは初めて。
インジェニュイティは、2月18日に火星に着陸した火星探査車「パーサビアランス」に搭載されていた。初飛行は米東部標準時の19日午前3時34分(日本時間同日午後4時34分)に実施。米カリフォルニア州パサディナにあるNASAジェット推進研究所の管制センターが受診したデータを解析し、飛行成功を確認したのは午前6時46分だった。
初飛行は当初今月11日に予定されていたが、事前のチェックで問題が見つかったために延期されていた。
インジェニュイティは火星の薄い大気の中で、地球からの助けなしに自律飛行を行った。NASAのチームはデータに加えて画像で成功を確認。まず届いた解像度の低い白黒画像には、インジェニュイティのナビゲーションカメラがとらえた火星の地表に映る機体の影をとらえていた。
パーサビアランスからも、インジェニュイティの飛行の様子を撮影した画像が送られてきた。
インジェニュイティは約40秒間の飛行でおよそ3メートルの高さまで浮上してホバリングを行い、方向転換して写真を撮影し、地上に戻っていた。
NASAのスティーブ・ジャージック長官代行は、「それまで不可能と思われていた宇宙探査を達成するというNASAプロジェクトの長く語り継がれる伝統を、新たにインジェニュイティが達成した」との声明を発表。これまでの宇宙船や探査機の進化に触れた上で、「インジェニュイティが我々をどこへ導くのか正確には分からない。だが今日の結果は、少なくとも火星の空が限界ではないことを表している」と述べた。
インジェニュイティのプロジェクト責任者ミミ・アウン氏は、人類が他の惑星で回転翼機を飛ばせるようになったと発言。「他の惑星でライト兄弟の瞬間を我々が迎える話を長年してきた。今がまさにそれだ」と語った。
NASAヘリコプター、火星で初飛行に成功