米軍撤退の影響は、アフガン市民に聞く

米軍撤退の正式発表の翌日、首都カブールの街路で露店を開く人々/CNN

2021.04.16 Fri posted at 14:45 JST

(CNN) 米国はさながら「書物を閉じる」ように、20年続いたアフガニスタンでの戦争を締めくくろうと考えている。しかし同国からの駐留米軍の撤退は、アフガン市民にとって不確かな新章が幕を開けることを意味するだろう。

バイデン大統領は14日、米軍を9月11日までにアフガニスタンから撤退させ、米国史上最も長期にわたる戦争に終止符を打つ意向を表明した。

アフガニスタンの首都カブールで、米軍撤退のその後について、楽観する声は聞かれなかった。外国の非政府組織(NGO)のメンバーとして市内で働くムハンマド・エドリスさん(31)は、「撤退は我々の利益にならない」と明言。「暴力が発生し、治安は劇的に悪化するだろう。そして再びアフガン人はアフガニスタンを後にし、他国へ亡命するようになる」と予測した。

多くのアフガン人は、反政府勢力タリバーンが米軍不在の中で権力の掌握に近づくのではないかと危惧している。過激思想を持つタリバーンは米国が支持するアフガン政府と戦闘中で、すでに国内農村部の広大な地域を支配下に置く。

タリバーンと政府側は断続的な和平交渉を行っているが、両者の戦闘は今年に入って激化している。

14日に公表された国連の報告書によると、2021年1~3月で死傷した市民の数は、前年同期と比較して29%増加した。犠牲者の大半は政府に反抗する活動によるものだという。

市民からは、米軍が撤退すればタリバーンが勢力を取り戻すと懸念する声が聞かれる

同国のガニ大統領は「米国の決定を尊重する」としているが、ミア・ラフマン・ラフマーニ国会議長は国が内戦状態に陥る恐れがあると警告。アフガン人は米軍の撤退を望んでいるものの、今はそのタイミングではないとの見方を示す。

アフガン政府を代表してタリバーンとの交渉に当たる4人の女性の1人、ファティマ・ギラニ氏も同じ懸念を抱き、CNNの取材に対し「アフガニスタンで和平が成立しない中での撤退は無責任」と語った。「最大の不安」は内戦だとも述べた。

タリバーンが復権すれば、アフガン女性が苦労して勝ち取ってきた利益も失われる可能性がある。タリバーン政権下の1990年代後半、少女たちは教育を受けられず、大半の女性は男性の監督下になければ就労や家から出ることさえ許されなかった。

一方で、アフガン政府はタリバーンに対抗して市民社会の利益を保護してくれると自信を持って語る人もいる。

カブール大学に通う20歳の学生、サイード・シャヒールさんは「米軍撤退後、アフガニスタンは武装勢力の手に落ちると考える人もいる」「けれどもそうはならない。我々は国を再建できるし、平和も手にできるだろう。治安部隊も国防軍も以前より強力だ」と主張した。

シャヒールさんはこれまでの人生すべてを、米国による戦争の影響下で過ごしてきた計算になる。

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