「世界で最も深い場所に沈む船」、米駆逐艦ジョンストンを潜水調査

第2次大戦を戦った世界で最も深く沈む船「USSジョンストン」の調査が行われた/Vulcan Inc.

2021.04.03 Sat posted at 15:20 JST

(CNN) 現在知られている中で最も深い場所に沈む船「USSジョンストン」について、米国に拠点を置くチームがこのほど完全な調査と動画撮影を行った。

ジョンストンは第2次世界大戦時に就役していた米海軍駆逐艦で、現在はフィリピン海の水深6500メートルに沈む。これまでも位置は分かっていたが、沈没地点全体の調査や撮影が行われたのは初めてだ。

海洋探査を手掛ける米民間企業「カラダン・オーシャニック」は3月31日、沈没船に到達。同社の潜水艇「DSVリミッティング・ファクター」が調査に成功した。ジョンストンは従来の見方よりも約30メートル深い海中の暗闇に眠っていた。

カラダン・オーシャニックの創業者ビクター・ベスコボ氏は米海軍の元指揮官で、世界の到達困難な場所を訪れることに長年情熱を燃やしてきた。全大陸の最高所と南極および北極、全海洋の海底を制覇した史上初の人物という記録を持つ。

1943年に撮影されたUSSジョンストン

今回のジョンストンの調査により、ベスコボ氏は世界で最も深い沈没船への潜水も成し遂げ、新たな記録達成となった。2日間で計16時間に及んだ調査の間中ずっと、ベスコボ氏がリミッティング・ファクターの操縦を担っていた。

ジョンストンは1944年10月25日、サマール海戦で大日本帝国海軍によって撃沈された。同海戦はレイテ湾海戦を構成する海戦のひとつ。米海軍歴史遺産コマンドによると、レイテ湾海戦は海戦史上最大級の規模で、日本海軍にとどめを刺す戦いになったという。

最初の交戦では、ジョンストンの火力が日本の巡洋艦を圧倒したが、ジョンストンの側も大きな損害を被り、弾薬は枯渇して、エバンス艦長自身重傷を負った。2時間半に及んだ戦いの末、ジョンストンは動力を失って日本艦によって包囲され、エバンス氏は乗組員に艦の放棄を命令。こうしてジョンストンは転覆、沈没した。

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