コロナ起源、研究所でなく動物媒介の可能性大 WHOの報告書案

WHOの調査チームが中国・武漢の海鮮市場を訪れる様子=1月31日/Getty Images

2021.03.30 Tue posted at 11:16 JST

(CNN) 新型コロナウイルスの起源を調査していた国際共同チームの報告書は、ウイルスがコウモリのような動物から中間宿主の動物を介して人間に感染した可能性が高いと結論付けていることが分かった。

世界保健機関(WHO)が30日に発表する報告書の草案を、CNNが入手した。研究所からウイルスが流出した可能性は低く、新型ウイルス感染症が初めて確認された2019年末より前から感染が広がっていたことを示す証拠は見つからなかったとする内容だ。

報告書は中国人17人を含む34人の研究者とWHOなどの専門機関が執筆し、国連食糧農業機関(FAO)がオブザーバーとして参加した。今年1月から2月にかけ、中国・武漢で行った実地調査を踏まえた結論をまとめている。

草案では考えられる起源として4つのシナリオを示し、最も可能性が高いのは中間宿主を介した感染だと指摘。自然界で捕獲され、農場で飼育される動物が媒介したとみられるが、具体的にどの動物かは依然不明としている。

2番目のシナリオとしては、コウモリや希少ほ乳類のセンザンコウなど、類似のウイルスを持つ動物から直接人間に感染したという説を挙げた。ただしコウモリのウイルスから新型ウイルスへの進化には数十年の隔たりがあると推定され、その空白はどうつながったのかというなぞが残る。

3番目は冷凍または冷蔵の食品を介した感染。最も可能性が低いのは研究所の事故による流出説とされた。

WHOの調査チームが中国・武漢の海鮮市場を訪れる様子=1月31日

報告書案は、19年12月より前にどこかの研究所が新型ウイルスに近いウイルスやゲノムを扱っていた記録はないと断定。流出説は「極めて可能性が低い」との見方を示す。

流出説をめぐっては、研究者らが数カ月前から、新型ウイルスのゲノム解析に基づき、研究所で人工的に作られたウイルスではないと主張していた。

最初に集団感染を確認した武漢の海鮮市場については、混雑した環境で感染が拡大したかもしれないものの、発生源ではなかった可能性があるとしている。

市場で扱っていた動物や食品から新型ウイルスは検出されず、ここで流行する前からほかの市場などで集団感染が起きていたことも分かったからだ。

19年末に先立つ感染例については、当時の武漢周辺での呼吸器疾患の罹患率に加え、病理診断の結果、薬局で販売された解熱剤やかぜ薬、武漢周辺の病院に保管されていたサンプルなどのデータを調査したが、新型ウイルスの影響は確認されなかったという。

報告書案は今後の課題として、19年末以前に採取された血液サンプルや、東南アジアの動物などをさらに調べるよう提言している。

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