タコも夢を見る? 眠りながらの変色は「活発な睡眠」の証しか

タコには睡眠サイクルがあるとする研究が発表された/Sylvia Medeiros/Federal University of Rio Grande do Norte

2021.03.26 Fri posted at 12:35 JST

(CNN) 8本の足で体を包み込むようにして目を細め、規則的な呼吸をしながら眠るタコ。体は全体が白っぽい灰色をしている。

ところが瞬間的に色が変わり始める。茶色がかったオレンジ色からさびたような赤色に変わり、目や筋肉、吸盤がピクピク動く。まるで夢を見ているかのように。

ブラジルの研究チームはこうした動きや色の変化について、タコにも睡眠サイクルがある証拠だと指摘。人間の眠りが深い睡眠から眼球が活発に動くレム睡眠へと切り替わるように、タコも活発な睡眠と静かな睡眠が切り替わっていると推測する。

この研究結果はブラジルのリオグランデドノルテ連邦大学の研究チームが25日の科学誌「アイサイエンス」に発表した。

「タコは話ができないので夢を見ているかどうか確認することはできない。しかし我々の研究結果は、タコが『活発な睡眠』の間、レム睡眠に似た状態を経験していることを示唆している。人間はレム睡眠中に夢を見ることが多い」。論文を発表した研究者は電子メールでそう解説している。

かつては睡眠状態が切り替わるのは哺乳類や鳥類だけだと考えられていたが、最近の研究では一部の爬虫(はちゅう)類やイカの仲間もレム睡眠とノンレム睡眠が切り替わることが分かっている。

タコには睡眠サイクルがあるとする研究が発表された

タコの脳の構造は人間とは大きく異なるが、ある程度哺乳類と同じような機能も持っている。研究チームによれば、タコには問題解決能力などの高度な認知能力があるという。

研究チームは研究室でタコの動画を撮影し、50日以上にわたって行動を観察した。

タコたちは目覚めている時は非常に弱い刺激にも敏感に反応するのに対し、睡眠状態に入ると視覚的または触覚的に強い刺激を与えない限り行動反応を起こさなかった。

タコはカムフラージュやコミュニケーションの目的で変色する。しかし睡眠中は環境要因による変色は起きなかった。睡眠中の色の変化は独立した脳の活動によるものと研究チームは推測する。

観察の結果、タコたちは静かな睡眠がしばらく続いた後に活発な睡眠を経験していることが分かった。

ただし「タコたちがもし本当に夢を見ているとしても、人間のように複雑で象徴的な筋書きを経験しているとは思えない。『活発な睡眠』が続く時間は非常に短い(通常は数秒から1分程度)」「もしこの状態の間に夢を見るとすれば、小さなビデオクリップかGIFのようなものだろう」と研究チームは解説している。

眠りながら色が変わるタコ

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