米議事堂乱入で議会警察トップが辞任 警官の発砲で死者、14人を逮捕

米国議会議事堂を襲撃するトランプ支持者ら=6日、米ワシントンDC/Samuel Corum/Getty Images

2021.01.08 Fri posted at 11:17 JST

ワシントン(CNN) トランプ米大統領の支持者が首都ワシントンの連邦議会議事堂に乱入して死者が出た事件で、議会警察のスティーブン・サンド長官が辞意を表明した。議会警察によると、サンド長官は今月16日付で辞任する。

野党民主党トップのナンシー・ペロシ下院議長は7日の記者会見でサンド長官の辞任を求め、下院警備局長が辞表提出の意向を示したと語っていた。

上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務も、民主党が与党になった時点で上院警備局長を解任すると言明していた。

これに先立ち議会警察は、6日の暴動で死者を出すに至った経緯について説明していた。

サンド長官は、議会警察などの警官が、金属パイプなどで武装した暴徒によって攻撃されたと説明。デモ隊が議事堂の建物に侵入し、下院議員が身を潜めている議事堂へ強行進入しようとしたことから、議会警察が女性に向けて発砲したと語った。

女性は搬送先の病院で死亡が確認された。女性を銃撃した警官は休職扱いとなり、議会警察と首都警察が合同捜査を進めている。

議会警察はさらに、議事堂の南東側にパイプ爆弾と不審な車両があるとの通報を受けて対応した。「いずれの装置も危険物であり、公衆安全に多大な損害を生じさせる恐れがあったと断定した」としている。この事件については米連邦捜査局(FBI)が捜査を進めている。

暴動の発生を受けて議会警察のスティーブン・サンド長官が辞意を表明した

議会警察は、議事堂に対する不法侵入の容疑で13人を逮捕したほか、不審な車両の所有者1人を逮捕したことも明らかにした。今後の捜査で逮捕者はさらに増える可能性がある。

議会警察や首都警察の警官は50人以上が負傷し、数人が重傷を負って病院に運ばれた。

首都警察の警備態勢をめぐって民主党議員などからは、トランプ大統領が何週間も前からバイデン氏の勝利確定を阻止するために集会を開くと予告していたにもかかわらず、準備が不十分だったとして批判の声が出ている。

事件当時下院議事堂にいた議員の話から、緊迫した状況も明らかになった。暴徒1人が扉の窓を破って議場に侵入すると、議会警察の警官数人が銃を抜いて引き下がるよう警告。侵入を阻止するために机や椅子が置かれたが、この人物が武器や爆弾を持っているのかどうかは分からなかったという。

民主党のラウル・ルイス議員は「私はいちばん近くにいたので、死ぬかもしれないと思った」と振り返る。「いつ、誰かが扉に半自動小銃を浴びせてもおかしくない状況だった」

警備が突破された直後に、ペロシ下院議長を含む指導部は避難した。続いて議場の下の方にいた議員は避難したが、上の方にはまだ民主党議員11人が残っており、ルイス議員は「ただ祈るしかなかった」と話している。

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