(CNN) 新型コロナウイルスの感染者が米国に次いで1000万人を超えたインドで、新型コロナウイルスのワクチンを3億人に接種する計画が進んでいる。
モディ首相率いるインド政府はワクチンの最初の接種を行う3億人を決定した。優先されるグループとして、医療従事者や警官、兵士、ボランティアなどが3000万人。2億7000万人がぜい弱な人々で大部分が50歳以上の市民などとなっている。
インドでは3つの主要なワクチンについて緊急使用の申請が出されている。すべてのワクチンが十分な免疫を得るには2度の接種が必要。このため、6億回分のワクチンが必要となるが、インド政府は来年8月までにすべてのプロセスを完了したいとしている。
農村部のインフラが貧弱で公共の医療制度が不十分な新興国では非常に野心的な取り組みといえそうだ。
しかし、インドには独自の優位な点がある。インドは世界のワクチン開発の製造拠点として新型コロナワクチンを大量生産できる大規模な製造ラインを持っており、他の多くの国々よりも早く、安くワクチンを製造できる。
インドの当局者が新生児にポリオワクチンを投与する様子/STRDEL/AFP/AFP via Getty Images
ワクチン接種に関しても、インドにはすでに広大なネットワークが構築されている。全国規模の予防接種プログラムでは毎年、2600万人以上の新生児と2900万人以上の妊婦が、ポリオやはしか、B型肝炎などの予防接種を受けている。
モディ首相は、インドが世界最大級の民主的選挙の経験を活用することもできると示唆している。
インドで承認を待っているワクチン3つのうち、2つはインド国内で製造されている。
ひとつは、英オックスフォード大学と英アストラゼネカが開発し、ワクチン生産世界大手の印セラム・インスティチュート・オブ・インディアが製造。
もうひとつは、印バラト・バイオテックとインド医学研究評議会(ICMR)が共同開発しているもの。
英ファイザーのインド部門も、米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンについて申請を行っている。
セラム・インスティチュート・オブ・インディアの最高経営責任者(CEO)によれば、同社は現在、ひと月あたり5000万~6000万回分の新型コロナウイルスワクチンを製造しているが、来年1月か2月以降はひと月あたりの製造量を最大1億回分に引き上げるという。