米モデルナのワクチン、94.5%の予防効果と発表

Paul Hennessy/NurPhoto/Getty Images

2020.11.17 Tue posted at 10:19 JST

(CNN) 米製薬企業モデルナは16日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、94.5%の予防効果がみられたとする臨床試験(治験)の暫定結果を発表した。

治験の安全性を監視する独立委員会から15日午後に連絡が入ったという。同社の最高医療責任者(CMO)、タル・ザックス博士は「私の人生とキャリアで最高の瞬間のひとつだった」と述べた。

治験では開発中のワクチンと偽薬(生理食塩水)をそれぞれ1万5000人に投与。数カ月後までに偽薬のグループでは90人が新型ウイルスに感染し、このうち11人が重症化した。一方、ワクチン投与のグループでは感染者が5人にとどまり、重症化した例はなかった。

ワクチン投与後にごく一部の参加者が体の痛みや頭痛など軽い症状を訴えたものの、重大な副作用は報告されなかったという。

同社は今月中にも安全性に関するデータをさらに集めたうえで、近く米食品医薬品局(FDA)に認可を申請する予定だ。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長はこの発表を「素晴らしい結果だ」と歓迎し、12月後半には医療従事者、高齢者、基礎疾患のある人など高リスクのグループから接種を開始できる可能性があると指摘。一般市民への接種は4月末ごろから数カ月かけて実施されるとの見通しを示した。

米ファイザーも先週、開発中のワクチンに90%以上の予防効果が認められたと発表していた。

モデルナのワクチンはマイナス20度での保管が可能だ

両社のワクチンはどちらも遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使った新たな技術で開発されている。新型ウイルス表面の突起部分をつくるための遺伝情報を運ぶmRNAをワクチンとして投与し、体内で突起を再現させ、免疫反応を誘発して抗体をつくらせる仕組み。免疫システムはこれらの抗体で新型ウイルスを撃退できるようになる。

ファウチ氏は、両社の結果発表によってmRNAワクチンに対する懐疑論が払拭(ふっしょく)されたと強調した。

どちらのワクチンも数週間の間隔を置いて2回接種する必要がある。安全性や有効性もよく似ているが、ファイザーのワクチンはマイナス75度の特殊な冷凍庫で保管する必要があるのに対し、モデルナ製は水ぼうそうワクチンなどと同じマイナス20度での保管が可能だ。さらにモデルナ製は冷蔵庫で保存できる期間が30日間と、ファイザー製の5日間を大きく上回っている。

米モデルナ幹部、「人生とキャリアで最高の瞬間のひとつ」

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