(CNN) 米国内の各州で、新型コロナウイルスの症例数が減少しつつある。しかし当局者は、注意を怠ればすぐにも事態は覆りかねないと警告した。
トランプ政権で新型コロナウイルス検査を統括するブレット・ギロイル医師は、現状について「正しい方向に向かっている」と述べ、症例数が減少した一因はマスク着用やソーシャル・ディスタンシング(他人との距離の確保)といった対策にあると指摘した。
米国内で報告された1日当たりの新規症例数は、ここ数週間で減少している。ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、過去1週間の平均は19日の時点で約4万7300例と、ピークだった7月22日の6万7317例より少なくなった。
新規の症例数が横ばいになった州も、安全対策の徹底が奏功したとしている。
カリフォルニア州で20日に報告された新規の症例は5920例だった。確認された感染者数が、同州の14日間の平均である8198例を下回ったのは5日連続。同州衛生局によると、7日間と14日間の陽性率は、いずれも6.6%で推移している。
ジョンズ・ホプキンス大学によれば、ハワイなど12州では1日の平均の症例数が前の週に比べて10%以上増えている。ハワイ州の州都ホノルルでは、症例数の増加を食い止めるために規制が厳格化され、屋内、屋外を含めて集会が禁止された。
ギロイル氏は19日の電話会見で、今は規制を緩めるべき時ではないと強調、「注意を怠れば、すぐにも事態は覆る」「我々はメモリアルデー(5月25日)でそれを目の当たりにし、それからの数週間で現在の流行が始まった」と指摘した。
米国の症例数は、各州が規制を緩和した後の6月中旬から7月下旬にかけて急増した。この事態を受けて半数以上が再開の計画を中断。制御不能に陥ったと専門家が指摘する感染の拡大を食い止めるため、新たな対策を導入していた。
症例数はこの数週間で減っているが、1日当たりの死者数は比較的高い水準にある。
米国内の1日当たりの新型コロナウイルスによる死者は、7日間の平均で1000人を上回る日が19日まで24日続いた。その前の7週間は1000人を下回っていた。
7日間の平均の検査陽性率は、20日の時点で6.3%となり、7月中旬の8.5%から低下した。
米疾病対策センターは、学校を再開するためには、その地域の陽性率が5%を切る必要があると勧告している。19日の時点で少なくとも26州は5%を上回っていた。
当局は若者に対して、社交などの集まりを避け、安全対策に従うよう呼びかけている。専門家は、若者のグループがこの夏にかけて症例数を増加させる一因になったと指摘する。大学キャンパスに学生が戻り始めた今、既に数百人が検査で陽性と判定されている。