(CNN) 絶滅が危惧されているトラの映像がタイ西部で4年ぶりに撮影された。自然保護活動家は、トラの種の保存に向けて希望が高まったと歓迎した。
トラは密猟によって絶滅の危機に追いやられ、違法な野生生物の取引で売られている。今回の映像によって、トラがタイの森林に戻ってくるかもしれないという希望が再燃したといえそうだ。
人里離れた場所に設置されたカメラは3頭の若いインドシナトラを2月と3月に捉えていた。ある動画では機械を調べるためにトラがカメラに近づく様子も映っていた。
動画は世界トラの日にあわせて公開された。動画は、タイの国立公園・野生動物・植物保全局と保護団体のパンテラ、ロンドン動物学会が参加した合同の監視プログラムの一環で撮影された。
パンテラの主任研究員ジョン・グッドリッチ氏は「我々の惑星の野生生物の将来について疑問を投げかける報道が数多く報じられているが、今回の進展は希望の歓迎すべき兆候であり、タイの絶滅の危機に瀕(ひん)しているトラにとって流れが変わる可能性がある」と述べた。
これらのトラは定着した繁殖個体群から南へ移動したとみられており、少なくとも1頭はミャンマーとの国境付近の新しい地域にたどり着くために約80キロを移動していた。
タイのそうした地域は人口が少なく山がちで多くの熱帯林が生息している。密猟から守るために正確な場所は公表されていない。
パンテラの東南アジア地域のコーディネーターを務めるクリス・ハラム氏は「3頭とも非常に若く、オスだとみられる」と述べた。
トラが以前は見られなかった場所に移動してきたことは、そうした地域が十分に保護され、定住するのに十分な獲物も存在していることを意味するため、非常に重要だという。
ハラム氏は「トラたちが実際に同地に定住しているかどうかは不明だが、入念に監視を続けている」と述べた。
試算によれば、世界全体で生息している野生のトラは3900頭で、100年前の10万頭から減少した。大多数はインドに生息しており、タイの生息数は160頭にとどまると考えられている。
トラが激減した大きな理由は密猟で、トラの皮や骨は伝統的な医療市場で高い需要がある。生息地の森林伐採や人間の生活圏の拡大も減少の要因となっている。
絶滅危惧のトラ、撮影に成功 タイ