(CNN) 新型コロナウイルスをいったんは封じ込めたかのように見えた欧州で、再び感染が拡大する様相を見せている。
アジアと同様に、欧州でも各地で新たな流行が発生してロックダウン(都市封鎖)などの対策が復活しつつある状況は、流行の再燃から逃れられる国はないという現実を見せ付けている。
ドイツの国立感染症研究機関「ロベルト・コッホ研究所(RKI)」は27日、最近の症例数急増を「非常に憂慮すべき」事態と形容した。
ドイツの新型コロナウイルス対策は、迅速な対応や充実した検査態勢をめぐって高く評価されていた。
新型コロナウイルスによる世界の死亡率が4%以上だった3月の時点で、ドイツの死亡率はわずか0.4%だった。
4月半ばまでには200万人以上が検査を受け、週に40万回を超す検査を実施。1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す実効再生産数(R値)が1を切って0.7になったことを受け、経済活動の再開に乗り出した。
ところがロックダウン措置が緩和されると間もなく新たな流行が発生し、5月には1日当たりの症例数が900例に増えて、各地で集団感染が相次いだ。
ここ数週間は1日当たりの新規の症例数は500例前後に減っていたが、24日には815例に急増した。
RKIによると、4日間のR値は27日の時点で1.28、7日間のR値は1.10だった。新規の症例は、大規模な集まりや職場、公共施設、外国から戻った旅行者に関係しているという。
メルケル首相の首席補佐官は27日、こうした数字を「懸念材料」と位置づけ、秋にかけての大規模な流行を抑え込むためには、夏の間の1日の症例数を、500例を大きく下回るレベルに保つ必要があると指摘した。
農家で働く季節労働者の間で集団感染が発生した南部のバイエルン州マミングについては、住民全員に無料で検査を実施する。
一方、英国のジョンソン首相は28日、スペインからの帰国者に2週間の隔離を義務付けた措置について質問され、欧州では流行の第2波の兆候が見え始めているとの認識を示した。27日の新規の症例数は685例で、ここ数週間は横ばいで推移している。
スペイン保健省の統計によると、1日当たりの新規の症例数は6月の間は大部分で400例を下回ったが、27日には新たに855例が確認された。
感染者の増加は、夏季休暇を取る人の動きと関係している。ドイツやフランスは、米国などのリスクが高い国から到着した乗客に対し、14日間の隔離義務付けに加えて、検査を受けさせる計画を発表した。
フランスでも1日当たりの新規の症例数は、5月11日にロックダウンが解除された時と同じレベルに戻りつつある。ベラン保健相は、まだパンデミックの第2波ではないと強調する一方で、症例数の急増に対して警戒感を示した。
症状が少ない40歳以下の層で新たな集団感染が発生している日本と同様に、フランスでも以前より感染者の年齢が下がっているとベラン氏は指摘、若者に対して警戒を続けるよう促している。
フランスのカステックス首相は25日、全土のロックダウンによる悪影響は避けたい意向だと述べ、ドイツや英国などと同様に、地域ごとの制限で対応する方針を示した。
一方、ベルギーは感染者数の増加を受け、全土で8月末まで規制を強化している。