コロナワクチン、各地で開発進む オックスフォード大の治験でも効果

オックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカが共同で開発している新型コロナウイルスワクチンの初期の臨床試験で有望な結果が報告された/Courtesy University of Oxford

2020.07.21 Tue posted at 14:25 JST

(CNN) 英国のオックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカが共同で開発している新型コロナウイルスワクチンの初期の臨床試験(治験)で、有望な結果が報告された。

開発チームが20日、英医学誌ランセットで発表したところによると、治験の3段階のうち第1~2段階として、英国内5カ所の病院で4月末から5月末にかけ、新型ウイルスの感染歴がない18~55歳の計1077人に対し、開発中のワクチン候補または髄膜炎のワクチンを投与した。

ワクチン候補を投与したグループでは、28日以内に新型ウイルスを無力化する「中和抗体」、14日以内にウイルスを攻撃する「T細胞」による免疫反応が確認された。中和抗体反応は1回の投与でほとんどの対象者、2回投与後には全員にみられた。

ただし実際の予防効果や免疫の持続期間を確認するには、さらに研究が必要とされる。

副作用としては疲労感や頭痛を訴えた人が多く、注射した部分のはれ、筋肉痛、倦怠(けんたい)感、寒気、熱っぽさや発熱の報告もあったが、深刻な症状はみられなかった。

この結果について専門家は、数千人を対象とした第3段階へ進むために必要な条件はそろったとの見方を示す。

同チームはすでに英国とブラジル、南アフリカで第2~3段階の治験を開始。米国でも8月に後期の治験を予定している。

アストラゼネカはワクチン20億回分の生産体制が整っているとして、可能であれば年内にも供給を始める構えを示した。

ランセットでは同日、中国の新興製薬企業カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)が開発しているワクチンの治験についても、湖北省武漢で4月に実施した第2段階の詳細な結果が報告された。

世界各地で新型コロナウイルスのワクチンの開発が進められている

治験では500人以上の対象者を3つのグループに分け、それぞれ高用量、低用量のワクチンとプラセボ(偽薬)を投与した。

その結果、28日以内に高用量グループの95%、低用量グループの91%が抗体またはT細胞による免疫反応を示した。中和抗体の産生は高用量グループの59%、低用量グループの約半数で確認されたという。

同社のワクチン候補は風邪の原因となるアデノウイルスを弱め、そこへ新型ウイルスの遺伝子を搭載させてつくる。このため、アデノウイルスに感染したことのある人では効果が出にくい可能性が指摘されている。年配者は若者に比べて免疫反応が弱いとの結果も報告され、チームは今後の課題と位置付けている。

20日はさらに、臨床研究者らが未発表の論文を共有する専門サイト「medRxiv」で、米製薬大手ファイザーと独医薬ベンチャー、バイオNテックが共同開発しているワクチンの初期の治験結果が報告された。

両社は今月初めに米国人を対象とした試験のデータを発表していたが、18~55歳のドイツ人60人にさまざまな用量を投与した試験でも、ごく少量で抗体とT細胞による安定した免疫反応が確認されたという。

副作用としてインフルエンザのような症状や注射した部分のはれなどの訴えはあったが、いずれも自然に消え、重い症状は起きなかった。

両社は規制当局の許可を得たうえで、今月末から最大3万人を対象とした第3段階の治験を実施したい構えだ。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。