(CNN) 新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、保健当局者は当初、マスクの着用は不要との立場だった。その後、着用すべきだとの姿勢に変わり、今では、経済活動を保護し、学校を再開させ、多くの命を救うためにマスクの着用が必要だとの立場に変わった。
米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は「もし、我々全員が今後、4、6、8、12週間、全米でマスクを着用すれば、このウイルスの感染は止まるだろう」と述べた。
トランプ大統領は、全米でのマスク着用の義務化は検討しないとし、数カ月前の専門家の発言を引用。トランプ氏はFOXニュースの番組で、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長や公衆衛生局のアダムス長官がマスクを着用するなと言っていたと指摘した。
実際に2月や3月の時点ではファウチ氏やアダムス氏といった保健当局者は一般の人々に対してマスクを着用しないよう呼び掛けていた。
しかし、この数カ月、ファウチ氏やアダムス氏、CDC、世界保健機関(WHO)は全員、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるにはマスクの着用が重要だという点で一致している。これは、医師や科学者が、新型コロナウイルスがどれほど容易に感染するのかについて、より多くのことを理解しているからだ。
新型コロナウイルスは会話したり呼吸したりするだけで広がる。そして、非常に感染が拡大しやすい。自宅待機などの対応がなければ感染者は平均して2~3人にウイルスをうつす。
新型コロナウイルスは、無症状な感染者や発症前の感染者といった症状がない人からも拡大する。潜伏期間も最長14日間で感染に気が付く前にウイルスをばらまく機会も多い。
ウイルスが最も感染しやすいのは発症の48時間前で、感染がさらに気づかれにくくなっている。
言い換えると、くしゃみをしたり、せきをしたりしている人だけがウイルスを感染させるわけではないということだ。
CDCはマスクを着用することで自分も周囲の人々も守れると呼び掛けている。
ワシントン大学保健指標評価研究所によれば、米国人の95%が公の場でマスクを着用すれば、10月1日までに3万3000人の死を防げる可能性があるという。
新型コロナウイルスの感染が始まったころは、症状がない人の間で感染が容易に拡大することや空気中にウイルスが長くとどまることが知られていなかった。新型コロナウイルスの患者に対応する医療従事者が着用するマスクも不足した。
WHOとCDCは3月、健康な人はマスクを着用せず、病人の世話をする人たちのためにとっておくべきだとしていた。
しかし、4月に入り、無症状の人から感染が容易に拡大することがわかり、CDCとアダムス長官はガイドラインを変更した。WHOも6月にガイドラインを変更し、新型コロナウイルスの感染が拡大している場所や社会的距離を保つことが難しい場所ではマスクを着用するよう呼び掛けている。