宇宙空間で繰り返される謎の高速電波バースト、157日の周期が判明

アーティストによる想像図。反復する高速電波バーストを青で、発生源とみられる物体の軌道の中心にある天体をピンクで描いている/Kristi Mickaliger

2020.06.09 Tue posted at 10:34 JST

(CNN) 宇宙空間で正体不明の電波が突発的に放射される「高速電波バースト(FRB)」と呼ばれる現象について、英国などの研究チームが、一定の周期で繰り返されるパターンを観測したと発表した。こうしたパターンを持つFRBが見つかったのは史上2回目で、FRBの起源についての謎を解く手がかりになるとしている。

FRBは、宇宙空間で数ミリ秒の長さの電波が放射される現象。一部についてはどの銀河から来ているのかが突き止められたものの、FRBが発生する原因は分かっていない。

これまでの観測では、高速電波バーストが繰り返される場合、散発的あるいは集団的に発生するのが一般的だった。

しかし今年に入って観測された「FRB 180916.J0158+65」というバーストは、16.35日ごとに発生するパターンを持っていた。4日間にわたって1時間ごとに1回か2回のバーストが発生し、次の12日間は沈黙するというパターンだった。

次に観測された「FRB 121102」のバーストは、90日にわたって放出された後に67日間沈黙するという、157日ごとのパターンが繰り返されていることが分かった。

FRB 121102のバーストの反復は2016年に判明していたが、パターンが突き止められたのは今回が初めてだった。

英マンチェスター大学の研究者は、「このようなパターンをもつFRBは、これまで1つしか知られていなかった」と述べ、「こうしたパターンの発見は、FRBの起源を探る重要な手がかりになる。周期性の存在は、FRBを発生させている物体が、恐らくは別の天体の軌道上にあることを物語る」と解説する。

「FRB 180916.J0158+65」のパターン検出では、カナダにある電波望遠鏡「CHIME」が使われた

この研究結果は7日の天文学会誌に発表された。

FRB 121102は、30億光年以上離れた小さな矮小(わいしょう)銀河から来ていることが、2017年に初めて突き止められていた。

このFRBが、前回パターンが検出されたFRBに比べて約10倍の周期を持っていることは、潜在的な活動範囲の大きさを表していると研究チームは指摘する。強力なバーストの原因については、巨大な恒星やブラックホール、高密度の中性子星の軌道に由来する可能性があると見ている。

バーストのパターンは、英ジョドレルバンク天文台のラベル望遠鏡を使って4年がかりで観測した。

FRBは2007年に初めて観測され、そのうちの一部が繰り返されていることが2016年に判明。今回の研究で、パターンを持つものがあることが分かった。

論文共著者の米ウエストバージニア大学の研究者は、「こうした周期的な天体について理解を深め、その起源を解明するためには、もっと多くのFRBを観測する必要がある」と話している。

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