新型コロナの死者統計は過剰か、トランプ大統領が疑念 専門家は反対の意見

新型コロナに関する公式統計についてトランプ氏と側近らが議論を交わしていることがわかった/CNN

2020.05.14 Thu posted at 11:45 JST

(CNN) 新型コロナウイルスによる米国内の死者数の集計をめぐり、米疾病対策センター(CDC)などがまとめた公式統計を疑問視する見方がホワイトハウス内部で浮上している。

事情に詳しい関係者によると、トランプ大統領と側近の間では、政権が死亡率や死亡予測の推計に使っている数値が、今後の計画を立てるための信頼できる指標として利用できるのかどうかについて、論議が交わされているという。

この問題に詳しい複数の関係者によれば、全米で症例数が着実に減少する中で、トランプ大統領と一部の側近は、死者数が過剰に集計されているのではないかとの疑問を持つようになった。ただしトランプ大統領は公の場では、この数字の正確さを強調している。

反対に、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策を率いる専門家のファウチ国立アレルギー・感染症研究所長は、病院へ行かずに自宅で死亡する人もいると指摘し、新型コロナウイルスによる死者は統計よりも多いとの見方を示していた。

しかしトランプ大統領の周辺では、CDCから伝えられる新型コロナウイルス関連の統計には疑問があり、数字が古かったり歪(ゆが)められたりしている可能性があるとの見方が浮上。ホワイトハウス対策本部の会合では、CDCがどのように統計をまとめているのかについて、政権高官が疑問を投げかけていた。

死者数の統計をめぐる疑問は、トランプ大統領と周辺の側近らが、政府機関の出す統計や助言に対して厳しい目を向け始めた現実を物語る。死者統計には疑問を投げかけ、モデルに疑念を持ち、勧告に対しては論議を突き付けて却下し、医療専門家に対しては、たとえ国民に信頼される人物であったとしても、不審の目を向ける。

トランプ大統領が11月の大統領選挙を見据えて経済活動の再開を急ぐ中、大統領の周辺や一部側近でさえも、新型コロナウイルス対策を下支えする機関や統計に対して不信感を植え付けるようになっている。

トランプ大統領自身はこの動きに時折しか介入せず、政府機関が発表する事実や統計に対して疑念を植え付ける行為は、議会やホワイトハウス内部の支持者や保守系メディアに任せてきた。それでもその努力を怠っているわけではなく、自らの行動を通じて、自らの専門家が示したガイドラインを大幅に後退させている。

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