ワシントン(CNN) 米司法省は7日、マイケル・フリン元大統領補佐官(国家安全保障担当)の起訴を取り下げた。フリン氏は3年前、ロシアとの接触について虚偽の説明をしたことでトランプ大統領から解任され、マラー特別検察官との司法取引を経て、ロシア疑惑の捜査に協力する姿勢に転じていた。
起訴取り下げの請求は首都ワシントンの連邦地裁に提出された。本件の法的攻防は長期化しており、最近はトランプ氏がロシア疑惑の初期捜査や連邦捜査局(FBI)の旧指導部を批判する種になっていた。
今回の起訴取り下げは、マラー氏による捜査やFBIをけん制する動きでもある。特にオバマ前政権に仕えたFBIの当局者に関しては、トランプ氏が敵視している。マラー氏とFBIはトランプ陣営関係者とロシアのつながりに関する捜査を試み、フリン氏の件も含め、両者が接触した事実を多数発見していた。
司法省は2年以上にわたり法廷でフリン氏の起訴を擁護していた。報道官によると、司法省は起訴取り下げを求める決定についてホワイトハウスに報告しなかったという。
司法省は法廷文書で、新たに発見もしくは機密解除されたフリン氏関連の記録に言及。こうした記録を精査した結果、フリン氏とキスリャク駐米ロシア大使(当時)の電話協議をめぐり2017年に行われた捜査について、不適切な捜査との判断に至ったと述べた。
これに対し、フリン氏の捜査に当たったFBIの元幹部からは即座に批判の声が上がった。
起訴取り下げの請求は裁判所が正式に承認する必要がある。
フリン氏は法廷で2度にわたり、政権移行期におけるキスリャク元大使との接触についてFBIに虚偽の供述をしたことを認めた。しかし昨年、マラー氏との司法取引を進めた弁護団を解任すると、その後は裁判所に有罪答弁の撤回を申し立てていた。
トランプ氏は先月30日、フリン氏の嫌疑が晴れるだろうと示唆し、FBI捜査官を「汚くけがらわしい警官」と批判。7日にはフリン氏は「無実」だと指摘し、「フリン将軍のことをうれしく思う。彼は偉大な戦士だったし、今なお偉大な戦士だ」などと述べた。