(CNN) 新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の流行が続く米国で、肺炎やインフルエンザなどCOVID―19以外の疾患による死者も目に見えて増えていることが分かった。イエール大学公衆衛生大学院の研究チームが27日に報告した。
研究チームによると、死者の数は、米国でCOVID―19の感染が広がり始めた3月から4月上旬にかけ、目に見えて増えていた。この傾向は、特に影響が大きかったニューヨーク州とニュージャージー州で最も顕著だった。
研究チームが米疾病対策センター(CDC)の統計を調べた結果、3月1日~4月4日の過剰な死者は約1万5000人に上ることが判明。この間に報告された新型コロナウイルスの死者は8000人だったが、過剰な死者の数は、そのほぼ2倍に上る。
感染症に詳しいイエール大学のダン・ワインバーガー氏によると、こうした患者の死亡が新型コロナウイルスに関係するのかどうかは確認できなかったものの、関係をうかがわせる痕跡はある。
医療機関を受診した人の統計を調べたところ、「多くの州で、インフルエンザのような疾患が増え、その1~2週間後に肺炎やインフルエンザによる死者が増えていた」とワインバーガー氏は指摘、この現象は新型コロナウイルスに関係があると推測した。
特にニューヨーク市では、この傾向が特に顕著だった。また、カリフォルニア州では新型コロナウイルスを原因とする死者が101人と報告される一方で、肺炎とインフルエンザによる過剰死者は399人に上った。
新型コロナウイルスによる死者は、肺炎やインフルエンザによる死者として扱われることもある。新型コロナウイルスが脳卒中や腎不全、心臓疾患などの症状を引き起こす症例も報告されている。
糖尿病やがん、心疾患などの基礎疾患がある患者が新型コロナウイルスのために死亡した場合でも、そうした基礎疾患が死因とされる場合もある。
そこで研究チームが他の死因についても調べた結果、3月中旬から3月28日にかけての肺炎とインフルエンザによる死者は、例年に比べ目に見えて増えていることが分かった。
「フロリダやジョージアなどの州では、新型コロナウイルスの検査が広範に普及する数週間前から、肺炎とインフルエンザによる死者が増えていた」と研究チームは指摘する。
研究チームは、検査が十分に行き届かないことや、地域によってばらつきがあることなどを理由に、新型コロナウイルスの検査で確認された陽性反応の件数よりも、今回の推計の方が正確に新型コロナウイルスによる死亡状況を把握できている可能性があると説明。「これはまた、ウイルス検査がどの程度、COVID―19に直接的あるいは間接的に関係した死亡を見落としているかを物語る」とした。
米国で初めて新型コロナウイルスのために死亡したのは、ワシントン州で2月29日に亡くなった男性とされていた。しかし実は新型ウイルスが1月か、恐らくは昨年12月に米国で拡散していたのはほぼ間違いないと見る専門家もいる。
カリフォルニア州は先週、2月6日に死亡した57歳の女性が、実は米国で初の死者だったことが分かったと発表していた。