マスク着用、欧米も勧告へ 新型コロナ対策でアジアの正しさ実証か

欧米でも新型コロナウイルス対策としてマスクの着用を勧告する動きが出ている/John Moore/Getty Images

2020.04.02 Thu posted at 17:15 JST

香港(CNN) 世界で新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の流行が続く中、今後数週間で、感染を防ぐためにマスクの着用を勧告する国や地域が相次ぐかもしれない。

アジアでは流行が始まって以来、多くの国や地域がマスクの着用を勧告してきた。この対策の有効性は、そうした国や地域の感染率の低さと封じ込めの早さによって裏付けられていると言えそうだ。

一方、米国などはこれまでずっと、衛生当局者や政治家やマスコミが自信たっぷりに、マスクは感染防止の役に立たないと主張してきた。

ところが米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド局長は3月30日に一転して、これまでの方針を見直して一般の人のマスク使用を勧告する可能性があると語った。世界保健機関(WHO)がこれに続くのは時間の問題かもしれない。

今回のようなパンデミック(世界的な大流行)の中で、マスクが感染を防ぐ役に立つことを裏付ける証拠はある。

これまでの研究では、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際のマスク着用の効果が報告されていた。北京での集団感染について調べた調査では、公共の場で常にマスクを着用することと、SARSに感染するリスクが70%低くなることの関係が指摘された。

SARSもCOVID―19と同様に、コロナウイルスによって引き起こされる呼吸器系の疾患だった。

香港などは最初から、症状があってもなくても公共の場でマスクを着用するよう勧告していた。台湾、韓国、中国本土でもマスクが広範に使用され、大規模感染の防止や封じ込めに関して、マスクを使わない欧州や北米よりも大きな成功を収めている。

香港大学医学校の専門家はCNNの取材に対し、「香港のデータを見れば、感染対策に関してマスク着用が恐らく最も大切だということが分かる」と述べ、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザの防止にも役立っていると指摘した。

香港はパンデミックの最前線にいながら、感染者は3月初めの時点で150人程度にとどまっていた。しかも他国が行っているような厳格な移動制限は実施していなかった。最近になって感染者が増えたのは、欧州や米国などからの帰国者が増えたことによる。

アジアでは新型コロナウイルスの流行が始まって以来、多くの国や地域でマスク着用が勧告されている

CDCやWHOなどはこれまで、マスクは普通の状況では役に立たないと言いながら、同時に医療従事者や介護者には必要だと主張してきた。

この矛盾するアドバイスは混乱を引き起こし、当局者のうそによって危険にさらされていると憤る人も少なくなかった。

当局がマスク不使用を勧告してきたのは、医療従事者のマスクが不足する事態を避けようとする狙いがあったと思われる。だがそうした勧告が一因となってウイルス感染が拡大し、病院が患者であふれ返る事態を招いた可能性もある。

CDCのレッドフィールド局長が方針の転換を検討している理由のひとつは、新型コロナウイルスが無症状の人からも感染することがあるためだ。つまり、香港などアジアの国や地域が1月から実施してきたように、誰もがマスクを着用すれば、感染の拡大を抑え込む助けになるかもしれない。

誰もがマスクをすることは、それ自体に意味がある。症状のある人のみにマスク着用を指示することは、そうした人に自ら症状があると宣言させることになり、恐怖心や敵意を招きかねない。しかし外出時に誰もがマスクを着用するようになれば、症状のある人も着用しやすくなり、周りの人を守ることにつながる。

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