米国の1日の死者、100人超 医療現場で募る危機感

新型コロナウイルス対策でニューヨークに動員された州兵/John Moore/Getty Images

2020.03.24 Tue posted at 10:33 JST

(CNN) 米国で23日、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)による1日の死者が100人を超えた。人が集まる人数を制限したり、飲食店の営業中止を命じる州も増え、テキサス州では人工妊娠中絶を含む医療行為の制限に踏み切った。

テキサス州のアボット知事の命令は、直ちに行う必要のない手術などの医療行為について延期を求める内容。妊娠中絶についても、母親の生命や健康を守るために必要な場合を除いて延期を求めた。

新たな対策を打ち出した州は少なくとも15州に上る。フロリダ州のデサンティス知事は、ニュージャージーやニューヨークから流入する人が相次いでいるとして、そうした州から来た人には14日間の自己隔離を指示すると表明した。

米国でこれまでに確認された新型コロナウイルスの感染者は4万2000人以上、死者は少なくとも515人になった。

症例数は増え続けており、米公衆衛生局のアダムス長官はNBCテレビの23日の番組の中で、「今週、状況はさらに悪化するだろう」と予想、国民に対して自宅にとどまるよう強く促した。


米公衆衛生局のアダムス長官。さらなる状況の悪化を予想した/Chip Somodevilla/Getty Images/FILE

衛生当局は、人との距離を約1.8メートル以上空け、人込みを避けるよう勧告しているが、そうした指示を無視する人も後を絶たない。ビーチには人が押し寄せ、学校が休校になったことから公園にも子どもなどが集まっている。

カリフォルニアやニューヨークなどの各州に加えて、コネティカットやルイジアナ、オハイオの3州とペンシルベニア州の7郡も23日に外出禁止令を出した。24日にはデラウェア、インディアナ、ミシガン、ニューメキシコ、ウェストバージニアの各州で同様の命令が発効する見通し。

トランプ氏に国防生産法の行使を求める声も強まっている

ニューヨークやコネティカットなどの州は、違反者に罰金や営業停止を命じると通告している。

マサチューセッツ州のベーカー知事は企業や事業所に対し、不要不急の従業員を出勤させないよう指示した。期間は24日正午から4月7日まで。従業員の在宅勤務は認める。

ほかの州と同様、レストランやバーは持ち帰り用に限って営業を認めるとし、10人を超す集会は禁止した。これまで禁止していたのは25人を超す集会だった。

各地の医療施設では医師や看護師の感染者が増え、マスクや酸素吸入器、スタッフなどの深刻な不足に見舞われている。

ニューヨーク市のデブラシオ市長は23日、大量のマスクや酸素吸入器が必要だと訴え、「今週、酸素吸入器を確保できなければ、救えるはずの命が救えなくなる」と危機感をあらわにした。

必要な医療用品を供給するため、トランプ大統領に対して国防生産法の行使を求める声も強まっている。同法は、工場に対して重要な装備品の製造とリソースの割り当てを強制できる権限を大統領に与える内容。トランプ大統領は先週、同法を発動したが、行使するつもりはないと説明していた。

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