全米で相次ぐハクトウワシの鉛中毒、年間数百万羽の鳥類に影響

保護施設の責任者がハクトウワシとポーズを取る様子/Cape Fear Raptor Center

2020.02.17 Mon posted at 12:10 JST

(CNN) 全米で鉛中毒のために命を落とすハクトウワシが相次いでいる。保護団体は、シカ猟などに鉛弾を使わないよう、ハンターの啓発に力を入れたい考えだ。

ノースカロライナ州にあるワシ類の保護施設では、この1カ月で鉛中毒のワシ7羽を手当てした。昨年11月以来、同施設で安楽死させたワシの少なくとも80%は鉛中毒が原因だった。

ハンターはシカなどの動物の猟に鉛弾を使用する。そうした弾で撃たれた動物を餌にする鳥類が、間接的に影響を受けているという。

同施設の専門家によると、「シカがすぐには死なずに逃げてハンターに見つけられなかった場合、ワシやコンドルがそれを見つけて鉛を摂取する」。鉛は消化管で吸収されると有毒化する。

直近では14日にハッターラス島で鉛中毒の症状があるワシが見つかり、同施設に持ち込まれた。ワシは脱水状態でひどく弱っていて動くこともできず、その日のうちに死んだ。

道路を横切って飛ぶワシが鉛中毒のために判断力が鈍り、車にひかれるなどして死ぬこともある。

ハクトウワシが空を飛ぶ様子

中毒の程度によっては、薬物を注入して血中の毒素を体外に排出させるキレート療法で回復するワシもいる。しかしあまりに苦痛が大きい場合は安楽死させ、多くは治療の甲斐なく命を落とす。

米鳥類保護団体によると、全米で鉛中毒の影響を受ける鳥類は、ハクトウワシを含めて年間に何百万羽にも上る。特に鉛中毒が増えるのはシカ猟のシーズンだが、年間を通じて全米で問題になっているという。

対策は、鉛を使わない弾丸を使用することの大切さについて、ハンターを啓発するしかなさそうだと専門家はみる。ただ、銅弾はネット通販では購入できるものの値段が高く、実店舗で見つけるのは難しい。

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