盆栽2鉢が盗難被害、「返して」と訴え 米博物館

盆栽2鉢が盗難被害に遭い、博物館は特別な世話が必要だとして返してほしいと訴えている/From Pacific Bonsai Museum

2020.02.12 Wed posted at 16:45 JST

(CNN) 米ワシントン州の州立博物館に展示されていた高価な盆栽2鉢が盗まれる事件があった。同博物館は、盆栽は特別な手入れを要すると指摘し、返してほしいと呼びかけている。

盗まれた盆栽は同州のパシフィック盆栽博物館に展示されていた。防犯カメラには9日未明、フード付きのスウェットを着た2人組が展示室に侵入する様子が映っていた。

学芸員は「75年にもわたって手をかけてきたのに」と打ちひしがれた様子。専門家が手入れしなければ持たせることはできないと危惧する。

同博物館では、気温が氷点下を下回るとそれぞれの木に覆いをかぶせてヒーターを設置している。水やりは年間を通じて欠かせない。

盗まれた盆栽のうち1本はクロマツの木で、第2次世界大戦中にブリキ缶の中で育てられ、70年以上前に日本人強制収容所に収容されていたフルザワ・ジュザブロー氏が手入れしていた。

もう1鉢はグミの木の盆栽で、1946年から盆栽として育てられ、女性盆栽家のパイオニアとして知られるハタナカ・キヨコ氏が制作を手がけた。

同博物館は約150鉢を収蔵しているが、当時展示していたのは50~60鉢のみだった。値打ちについて具体的な額は明らかにしていないものの、数千ドルの価値があるとキャシー・マッケーブ館長は話す。

同博物館は2015年にも盆栽1鉢が盗まれる被害に遭っていた。この鉢は数日後に戻ってきたが、ひどいダメージを負っていたといい、「盆栽ICU(集中治療室)に運ばれた」とマッケーブ館長。以後、展示は控えているが、回復に向かっているという。

もしも盗まれた盆栽を戻してくれる人がいれば、何も事情は聴かないと館長は言い、「あの盆栽は、私たちの地域社会に所属するかけがえのないもの。あの木にしか語れない深い物語がある」と訴えている。

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