ワシントン(CNN) トランプ米大統領は28日、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を掲げる中東和平案を発表した。実際にはイスラエル側の要求をほぼ全面的に認める内容で、パレスチナ側はただちに強い反発を示した。
和平案はイスラエルがパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地をパレスチナ側の同意なしに併合することを認めるなどの内容。
ただしイスラエルに対しては入植地での主権と引き換えに、今後4年間は入植地拡大を凍結するよう求めている。
トランプ氏はパレスチナ国家の領土が現在の2倍になると説明し、ガザ地区に近いイスラエル領内の砂漠地帯をパレスチナ領とする地図を示した。だが実際には、パレスチナは一方で、入植地を含む西岸地区の3割近くをイスラエルに引き渡すことになるとみられる。
双方が首都と主張する聖地エルサレムについては、イスラエルの「不可分の首都」と位置付け、パレスチナ国家の首都はパレスチナ側が求めてきた東エルサレムより外側のアラブ居住区に置くとした。
パレスチナ難民がイスラエル領内に帰還する権利には言及せず、パレスチナ人もイスラエル人も現在の住居を追われることはないと強調している。
トランプ氏はホワイトハウスにイスラエルのネタニヤフ首相を招き、同氏との共同会見で和平案を発表した。
トランプ氏はこの和平案を「世紀の取引」と呼び、イスラエルの安全を脅かさない「現実的な2国家共存」の提案だと述べた。ネタニヤフ氏は入植地併合に向け、今週末にも動き出す構えを示している。
トランプ氏はさらに、和平案はパレスチナにとって独立国家樹立を果たす「最後のチャンス」になるかもしれないとコメント。パレスチナ自治政府のアッバス議長に、国家樹立の条件を説明する書簡を送ったと述べた。
これに対してアッバス氏は西岸ラマラの議長府で、和平案を「世紀の平手打ち」と批判。パレスチナ側の立場は2018年に米政権がエルサレムをイスラエルの首都として承認して以来、変わっていないと強調した。
パレスチナ自治政府の駐英代表はCNNに、トランプ氏の提案によって交渉による問題解決の望みは絶たれたと語った。
トランプ氏、中東和平案を発表