米政権、ユダヤ人入植地で方向転換 「国際法に反しない」

ポンペオ米国務長官がヨルダン川西岸のユダヤ人入植地について、「国際法に反していない」と発言した/Drew Angerer/Getty Images

2019.11.19 Tue posted at 12:48 JST

(CNN) ポンペオ米国務長官は18日、イスラエルがパレスチナ自治区ヨルダン川西岸に建設しているユダヤ人入植地は「国際法に反していない」と発言し、過去40年余りにわたる米政府の見解を覆した。

ポンペオ氏は「法律論争のあらゆる面を慎重に検討した」結果、「西岸に入植地を建設することはそれ自体、国際法に反していない」との判断を下したと明言。入植地をめぐる固有の事実や歴史、状況に基づく判断だと説明した。

国際法は占領勢力が市民を占領地に移住させることを禁止し、西岸地区をイスラエルの占領地とみなしている。これに対してイスラエルは、「西岸は占領地ではない」と主張してきた。

米国務省は1978年、西岸での入植地建設が国際法と矛盾するとの見解を示していた。トランプ政権による方向転換がパレスチナからの反発を招き、欧州同盟諸国との溝を深めることは必至だ。

欧州連合(EU)はただちに「全ての入植活動は国際法違反」とする声明を出し、容認すれば中東和平交渉に悪影響を与えると非難。イスラエルに入植活動の停止を改めて求めた。

EUの外交当局者らは、トランプ氏の狙いは国内で親イスラエルの宗教勢力、キリスト教福音派からの支持を強化することだと指摘した。国際法を侮辱する姿勢の表れだと批判する声も上がった。

パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のエラカート事務局長は、トランプ政権が国際法を弱肉強食の原則に置き換えようとしているとして反発を示し、国際社会に「米国の無責任な行動」への対抗措置を呼び掛けた。

イスラエルのネタニヤフ首相は歓迎の意を示した

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は「米国が歴史上の誤りを正す重要な政策を打ち出した」と、歓迎の意を表した。

ポンペオ氏は入植地容認の立場について、「現政権はレーガン元大統領に同意する」と述べ、従来の方向を引き継いだにすぎないとの印象を与えようとした。

その一方で米国務省は18日、イスラエルのエルサレムやパレスチナ自治区ガザ、西岸地区でこの日の発表に対する報復攻撃の恐れがあると指摘。対象地域の米国民らに不要不急の移動などを避けるよう勧告した。

トランプ政権はこれまでも在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムへ移す一方、パレスチナ自治政府への経済支援を撤回し、首都ワシントンのパレスチナ代表部(大使館に相当)を閉鎖させるなど、イスラエル寄りの強硬政策を断行している。

ユダヤ人入植地「国際法に反しない」 米国務長官

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