美白クリームの成分は有害物質、健康被害の恐れも 英国で不使用勧告

ナイロビの店で美白目的に使われていた商品=2018年7月6日/SIMON MAINA/AFP/AFP/Getty Images

2019.10.01 Tue posted at 11:29 JST

(CNN) 肌が白くなる効果をうたった美白クリームには、塗料のはがし剤と同じ有害物質が含まれることがあり、「どんなことをしてでも」避けなければならない――。英イングランドとウェールズの地方自治体でつくる地方自治体協議会(LGA)がそんな警告を発した。

こうした製品についてLGAは、「ペンキの剥離(はくり)剤と同じ作用があり、がんのリスクを増大させる」と警鐘を鳴らしている。

英国では美白製品の多くが、有害な成分が含まれているという理由で禁止されている。しかしそうした製品が相次いで押収されていることは、いまだにそうした製品の販売が横行している実態を物語るとLGAは指摘する。

LGAによると、美白製品のほとんどに含まれる禁止成分の「ハイドロキノン」は、塗料はがし剤と同じような漂白剤で、皮膚の表面を除去する作用があり、がんのリスクを増大させるほか、肝臓や腎臓にダメージを与える恐れもある。

また、世界保健機関(WHO)によれば、一般的に禁止されている成分の水銀も、病原菌や真菌に対する抵抗力を減退させ、肝障害や不安、うつ、精神疾患の原因になることがある。

「禁止成分を含むスキンクリームは非常に危険であり、深刻な健康被害を生じさせ、生涯にわたる傷痕を残し、死に至らせることもある。従って、どんなことをしてでも避けなければならない」とLGAは強調する。

一方、天然成分や無害の成分を使った美白クリームは合法的に販売できるが、そうした製品は高額なことが多く、安価で危険な禁止品の需要がかき立てられているという。禁止成分が含まれる製品を販売した場合、2万ポンド(約260万円)以下の罰金や、1年以内の禁錮を言い渡される可能性がある。

英国では今年5月、ハイドロキノンを含む製品がロンドン郊外の店で大量に販売されているのが見つかり、店の経営者に罰金が命じられた。昨年8月には、ハイドロキノンを含む製品を販売し、表示を偽ったとして、ロンドン南部の店の経営者が禁錮20カ月を言い渡された。

世界的には美白製品の需要は伸び続けている。中でもアジア、中東、アフリカで需要が大きく、特にアジア太平洋地域は世界の市場規模の半分強を占める。

WHOによると、日常的な美白製品の使用率は最も多いナイジェリアで77%、中国やマレーシア、フィリピン、韓国では40%に上る。

美白製品をめぐっては、安全性の問題に加え、白い肌を美しいとみなす人種絡みの発言を助長させるという点で、本質的な問題があると指摘する意見もある。

日本ではお笑い芸人がテニスの大坂なおみ選手について、漂白剤を使った方がいいと冗談で発言してSNSで批判の的になり、謝罪に追い込まれる出来事もあった。

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