食事はフライドポテトやパンばかり、極端な偏食の10代少年が失明 英報告

フライドポテトやスナック菓子など極端な偏食を続けた英国の10代少年が失明/Shutterstock

2019.09.04 Wed posted at 11:15 JST

(CNN) 小学生の頃からフライドポテトや白パンばかり食べ続けてきた10代の少年が失明したという症例を、英ブリストル大学の研究チームが発表した。極端な偏食が失明につながったとみて、偏った食生活に警鐘を鳴らしている。

この症例は2日の医学誌に発表された。医師によると、少年は小学生の時からフィッシュ&チップス店のフライドポテトとプリングルズのポテトチップス、白パン、ハム、ソーセージしか食べていなかったと話しているという。

疲労感を訴えて初めて医師を受診したのは14歳の時だった。診察の結果、ビタミンB12不足と貧血の症状があることが判明。医師はビタミンB12を投与して、食生活についてアドバイスした。

1年後には聴覚障害や視覚障害の兆候が表れたが、医師にも原因は分からなかった。

視覚障害は悪化を続け、17歳までには失明状態になった。医師はビタミンB12の欠乏と銅およびセレンの不足、亜鉛過多、ビタミンDと骨密度の低下が原因と判断したが、この時点で視覚障害は回復不可能な段階に入っていた。

この症例について調べたブリストル医科大学とブリストル眼科病院の研究チームは、栄養障害によって視神経が機能不全に陥る視神経症と診断している。

途上国では貧困や戦争、干ばつなどに起因する栄養不良がこうした症状につながることがある。しかし先進国では偏った食生活による視神経症の症例は極めて稀だという。

この症状は早期に治療すれば回復は可能だが、何もしなければ失明につながる。

菜食主義の場合も、特定の栄養分の欠乏に注意を払う必要があるという

今回の症例では、偏った食生活とミネラル不足が失明の原因になったと研究チームは指摘。今後はジャンクフードの消費に起因する視神経症が増える可能性もあると予想している。

また、ヴィーガン食(完全菜食主義者向けの食事メニュー)についても、欠乏症を避けるためにビタミンB12のサプリメントを服用するよう促した。

この症例報告について、栄養学を専門とする英キングス・カレッジ・ロンドンのトム・サンダース教授は、食習慣の報告が患者本人の記憶のみに基づいていることや、遺伝性の疾患や環境に起因する問題が考慮されていないことを理由に、批判的な見方を示している。

今回の研究にはかかわっていない英インペリアル・カレッジ・ロンドンのギャリー・フロスト教授は、「極めて極端な事例ではあるが、幅広い多様な食事をとることの大切さが改めて示された」と指摘した。

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