米民主党候補者が2回目の討論会 初日の勝者と敗者は?

1日目の夜に登壇した民主党候補者10人/Gabriella Demczuk for CNN

2019.07.31 Wed posted at 20:03 JST

(CNN) 来年秋の大統領選に向けた野党・民主党の候補者による2回目の討論会が、30日からミシガン州デトロイトで始まった。

2日間の討論会には、世論調査の支持率または献金者数の基準を満たした計20人が参加。初日はこのうち10人が登壇した。

30日の討論ではだれが勝ち、だれが負けたのか。会場で取材したCNNのクリス・シリザ編集主幹が挙げる名前は、以下の通りだ。


1日目の夜に登壇した民主党候補者10人/Gabriella Demczuk for CNN

勝者の1人目はサンダース上院議員。フロリダ州マイアミで先月開かれた1回目の討論会で、サンダース氏は勢いに欠けると批判された。今回はその反省に基づき、積極的な姿勢に転じたようだ。

医療保険制度をめぐる議論は反論を「間違い」と断じるなど、短気できつい印象を与えた可能性もある。だがリベラル派の有権者は大きな変革を断行するリーダーとして、まさにそういう人物を求めている。この日のサンダース氏は同じリベラル系のウォーレン上院議員と比べても、ひときわ精彩を放っていた。

2人目はブロック・モンタナ州知事。この討論会を大きなチャンスととらえ、存在感を強めることに成功した。数字にどれだけ反映されるかは不明だが、冒頭の自己紹介から一貫して、サンダース氏やウォーレン氏のリベラルな主張は現実性に欠け、本選では勝てないと力説。絵空事の政策を掲げるのでなく、目の前の問題を解決することが重要だと繰り返し訴えた。

穏健派の有権者がバイデン前大統領以外の候補を探すとしたら、ブロック氏は有力な選択肢になれることを、今回のステージで示したといえる。

ブティジェッジ・インディアナ州サウスベンド市長は前回の討論会と同様、そつのない戦いぶりを見せた。今回は特に、37歳という若さを弱点から強みに変えようとする作戦が功を奏した。檀上に並ぶ政治家らがこれまで解決できなかった問題に取り組むには世代交代が必要だと、力強く訴えていた。

これまで印象の薄かったディレイニー前下院議員も、穏健派候補としての立場を明確に打ち出し、サンダース氏やウォーレン氏に何度も議論を挑んで存在感を示した。

一方でウォーレン氏がディレイニー氏の批判に対し、「何ができないとか、何を目指して戦うべきではないとか、それを語るためだけにわざわざ大統領選に出馬する候補の真意が分からない」と返したのは、見事な反撃だった。ウォーレン氏は本選に勝てる可能性を聞かれた場面でも、「トランプ大統領が勝つとはだれも思っていなかった」と、まさに的を射た言葉で答えた。

さらにもう1人、トランプ氏もこの日の勝者に挙げられる。民間医療保険の全廃が検討され、有力候補のウォーレン氏が不法移民の滞在を合法化しようと主張する展開に、トランプ氏は喜んだはずだ。

トランプ氏は支持率50%を突破したことがなく、再選に向けてプラスとなる自前の材料を持ち合わせていない。つまり同氏が勝つためには、民主党は現実が見えていない、ひそかに社会主義国家を目指しているといった、相手のマイナス材料をかき集める必要がある。今回の討論ではそういう材料がたくさん手に入っただろう。

では討論会で負けたのはだれか。筆頭はオルーク前下院議員だ。前回に比べてやや勢いを示したとはいえ、相変わらず議論にほとんど加わることができなかった。たまに口を開いても、台本通りの硬い発言に終始していた。

クロブシャー上院議員も波に乗るチャンスをつかめないまま、討論を終えた印象だ。

見事な切り返しが印象的だったウォーレン氏も、実は敗者といえるかもしれない。リベラル派の候補としてはサンダース氏の主張がより強力で、はっきりしていた。

民主党内ではかねてから、ウォーレン氏の主張で本選は戦えないとの懸念がくすぶっていた。不法移民を容認する同氏の立場が、この懸念に油を注ぐことも考えられる。

民主党候補者による2回目の討論会 1日目

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