瓦礫から転落寸前の幼児、手を伸ばす姉 空爆激化で子どもが犠牲に シリア

空爆後の瓦礫から転落しかける妹を姉が助けようとする写真が公開された/SY-24

2019.07.26 Fri posted at 12:20 JST

(CNN) 空爆で破壊されたビルの残骸の上に立ち、幼い2人の娘を必死の形相で見つめる父親。少女の1人は、今にも転落しそうな妹のシャツの端をつかんで助けようとしている。

この写真はシリアのイドリブ県アリハで24日、地元のメディア活動団体SY24が撮影した。空爆はロシアを後ろ盾とするシリア政府軍が行ったとされる。写真に写っていない母親は、この空爆で死亡した。

市民ボランティア組織のシリア防衛隊(通称・ホワイトヘルメッツ)によると、北西部の奪還を目指す政府軍の攻撃で、ここ数日の間に市民が相次いで犠牲になっている。この1週間で、同じような爆撃のために100人近くが命を落としたという。

シリア政府軍はこの2カ月の間、反体制派の最後の拠点が残るイドリブ県とその周辺に対する空爆を激化させている。シリア人権監視団によれば、民間人の死者は数百人に上り、数万人が避難したと思われる。

セーブ・ザ・チルドレンなどの慈善団体の24日の発表によると、イドリブ県で過去1カ月の間に犠牲になった子どもは少なくとも33人に上り、この地域で2018年の1年間に犠牲になった子どもの数31人を上回った。

空爆が激化した4月末以来の死者は、子ども90人を含む少なくとも400人に上ると同団体は推計する。

イドリブ県への空爆で、過去1カ月間に33人の子どもが犠牲になったという

国連のマーク・ローコック人道問題担当事務次長は先に国連安全保障理事会で、「民間人と民間施設に対する攻撃は即座に止めなければならない」と訴えた。

国連によれば、現地の病院は攻撃される恐れがあるとして閉鎖され、学校94校が避難所になっている。

平和への希望が薄れる中、シリアから脱出した人は2011年以来、560万人を超えた。国内でも数百万人が避難民となっている。

瓦礫からあわや転落、空爆の過酷さ物語る シリア

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