ニューヨーク(CNN Business) 音楽やアルバムの買い方を一変させた米アップルの「iTunes」登場から20年近くが過ぎ、音楽業界は激変した。今、アップルはiTunesを段階的に引退させ、代わって現代化を図った3種類のアプリを登場させる。
アップルは3日、iTunesをデスクトップアプリの「ミュージック」「TV」「ポッドキャスト」に入れ替えると発表した。こうしたサービスは、スマートフォンの「iPhone」やタブレットの「iPad」では既に分割されている。ウィンドウズを搭載したパソコン向けのiTunesは今後も存続する見通し。
同社広報がCNN Businessに語ったところによると、購入済みのコンテンツやライブラリは、Macコンピューター上のそれぞれの新しいアプリで維持される。
アップルはカリフォルニア州サンノゼで開いた世界開発者会議で、ダークモードや音声アシスタント「Siri」の機能強化などを盛り込んだ次世代モバイルOS「iOS 13」や、おろし金にそっくりな新しい「Mac Pro」を披露した。
同社はこれまでも、有料サービスの「Apple Music」にユーザーを移行させようとしており、iTunesの引退にそれほどの意外性はなかった。ユーザーが楽曲を買ってくれるのを待つよりも、月額料金を徴収する方がアップルの収益は押し上げられる。
音楽専用アプリの「ミュージック」では、ユーザーの好みに合わせたお薦め楽曲に力を入れ、「ポッドキャスト」ではユーザーが機械学習の力を借りて番組を検索できる。「TV」ではテレビ局などのコンテンツのほか、アップルのオリジナル番組も提供する。
今後も「ミュージック」アプリを使ってiTunesの音楽ストアから楽曲を購入してダウンロードすることは可能で、映画やテレビ番組をTVアプリから買うこともできる。iTunesギフトカードも引き続き利用できる。
デバイスの同期にiTunes使っていたユーザーについては、MacのFinderにあるサイドバー経由でツールを提供する。
iTunesは2001年にリリースされ、その2年後にサービスが始まった音楽ストアは、ユーザーが楽曲やアルバムを購入する方法を一変させた。当時の音楽業界は、海賊版やファイル共有サイトの横行に苦戦していた。そうした中でiTunesは、直感的に使える画面構成や単純な課金方式、オンデマンドのカタログを提供し、当時のどのプラットホームよりも優れた使い勝手の良さを実現した。
iTunesの戦略は、同社のデバイス事業と密接に連携していた。しかし専門家によると、サブスクリプション方式のコンテンツやサービスの台頭により、iTunesのモデルからシフトする傾向は鮮明になっていた。
iTunesの時代に幕