(CNN) 世界最高峰のエベレスト(標高8848メートル)に登頂した英国人登山家が、下山途中で死亡した。エベレストは登山者が押し寄せて「死のゾーン」と呼ばれる危険区域で大行列ができており、死亡した登山家はそうした過密状態に対して警鐘を鳴らしていた。
英国人登山家のロビン・ヘインズ・フィッシャーさんは25日、頂上から下山する途中、標高8600メートルの地点で死亡した。死因は高山病だったと思われる。
ヘインズ・フィッシャーさんは13日にインスタグラムへの投稿で「混雑を避けたいと思っている。21日に頂上を目指すチームが多いらしい」と書き込んでいた。
「頂上へ至るルートは1つしかないので、渋滞で遅れが出れば命取りだ。そこで私は、人が減りそうな25日に挑むつもりだ。ほかの人たちもみんな同じ待ちの戦術に出ない限りは」
2019年の登山シーズンに入ってエベレストで死亡したのは、ヘインズ・フィッシャーさんが9人目だった
5月20日の週には、標高8000メートルの地点にあるキャンプから、頂上まで続く登山者の長い行列ができていた。
頂上付近は空気が薄く、1回の呼吸で取り込める酸素の量は、地上にいる時のわずか3分の1程度。ほとんどの人は、酸素を補給しない限り、数分しかとどまることができない。このため登山者が行列を作っている地点は「死のゾーン」と呼ばれる。
登山ガイドのエイドリアン・バリンジャー氏によると、疲労のため死亡したとされる登山者は、大抵の場合、極端に標高の高い場所に長くとどまり過ぎて酸素を切らしているという。
エベレストでは24日にも、ネパール人の登山ガイドが具合が悪くなり、ヘリコプターでベースキャンプに運ばれたが死亡した。
アイルランド人登山家(56)は同じ日に、エベレストのチベット側で、標高7000メートルの地点に設置したテントの中で死亡した。
22日にはインド人登山家(55)と米国人登山家(55)が下山途中で死亡。23日にはインド人の49歳と27歳の登山家が、やはり下山途中に死亡した。
その前の週の17日にも28歳のインド人登山家が死亡したほか、アイルランド人の39歳の登山家が下山途中に滑落して行方不明になり、捜索は先週打ち切られた。
エベレストでは2018年にも5人、17年と16年にはそれぞれ6人が死亡している。初めての死者が出た1922年以来、命を落とした登山家は200人を超えている。
エベレストで死亡の男性、事前に警鐘鳴らしていた