タイ洞窟の救出劇、少年に麻酔薬を投与 医師が明かす

洞窟からの救出に当たり、少年たちに麻酔薬を投与していたという/HANDOUT/AFP/Getty Images

2019.04.05 Fri posted at 16:01 JST

(CNN) タイで昨年7月、水没した洞窟から少年12人とコーチ1人を助け出す作戦にかかわった医師が、困難で危険な潜水作業を乗り切るため、少年たちに麻酔薬のケタミンを投与していたことを明らかにした。

ケタミンは別名「スペシャルK」と呼ばれ、パーティードラッグとしても知られる。

救出劇に関する詳細は、タイの医師とオーストラリアの麻酔専門医が4日の医学誌に共同で発表した。それによると、少年たちはケタミンを投与され、救助隊のダイバーによって洞窟の外へ搬送された。

タイ海軍特殊部隊の司令官は当時、「子どもたちがパニックを起こさないようにする手段を使わなければならなかった」と話していた。

医師らによると、少年たちはフルフェイスマスクを着けて酸素の供給を受け、ウェットスーツを身に着けていた。

救出直後に現場で行った応急処置の内容も明らかになった。最初に助け出された4人はまず目を保護するためのサングラスをかけ、狭い洞窟をくぐり抜ける際に脊髄(せきずい)を損傷した可能性も考慮して、頭部と首を固定され、低体温症を予防するため毛布でくるまれた。

2番目に脱出した少年は体温が35度に低下して、病院へ搬送される途中で低体温症を発症した。

救助活動中に亡くなった元SEAL隊員に哀悼の意を捧げる少年たち

ケタミンには震えを抑制する作用もあることから、少年たちに投与したのは正しい判断だったと医師らは説明している。

少年たちは昨年6月23日に洞窟に入ったところ、水が流れ込んで脱出できなくなり、1週間以上たった後に、複雑に入り組んだ洞窟の奥で発見された。

潜水作業による救出劇は大きな困難と危険を伴い、タイ海軍特殊部隊(SEAL)の隊員だった男性が、酸素タンクを届ける作業の途中で空気を使い果たして命を落としている。

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