数百匹の捨て猫に救われた街、台湾の「猫村」を訪れる

衰退の著しかった台湾北部の町が、猫たちのおかげで活気を取り戻しつつある/Black Buddha

2019.04.05 Fri posted at 17:00 JST

(CNN) 台湾北部にある猫村の「ホウトン」。到着した瞬間から、たくさんの猫たちの出迎えを受ける。

猫形の橋、歩道脇に置かれた餌入れ、猫をあしらった道路標識、猫カフェ。そしてもちろん、至る所で気ままにくつろぐ猫たちの姿。

新北市にあるホウトンは1900年代初めまで、台湾で最大の炭鉱の街として栄えた。しかし1990年に廃坑となってからは若者の流出が続き、人口は最盛期の6000人から100人程度にまで減っていた。

転機は2010年、猫を愛する写真家が、増え続ける捨て猫についてブログを書き始めたことをきっかけに訪れる。ホウトンは一躍有名になって猫好きのメッカになり、猫は住民の大きな収入源になった。

捨て猫たちは今、住民やボランティアが面倒を見ている。猫グッズの店や猫カフェも増え、地元自治体はこの機をとらえて村の活性化に乗り出した。

猫遊歩道が建設され、道路には猫の肉球をあしらった金属版が並び、2014年にオープンした猫情報教育センターは、建物の前に猫の高架式歩道橋がある。

猫人気の盛り上がりの陰で、新たに猫を捨てに来る人が増える問題も表面化している

炭鉱で栄えた村の歴史を紹介する博物館公園は2010年に開設され、12年には猫ちょうちん祭りの会場になった。猫目当てに訪れる観光客は年間で推定100万人に上る。

一方で問題も浮上している。猫を捨てにホウトンへ来る人も後を絶たず、新北市の直近の推計によると、現在ホウトンにすむ猫の数は約286匹。2年前に比べて50匹増えていた。

常に観光客に触れられたり餌を与えられたりすることで、猫たちの健康も懸念され、市当局は住民やボランティアと連携してワクチン接種や治療などの対策に乗り出した。観光客にマナーを守るよう呼びかける看板も設置されている。

今や猫好きの聖地、台湾の「猫村」を訪ねる

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