創立100周年の企業も、歴史の長い航空会社10選

KLMオランダ航空。1919年設立/Courtesy J. A. Hampton/Topical Press Agency/Getty Images

2019.05.06 Mon posted at 19:00 JST

(CNN) ある業界が100周年を迎えていると聞けば、真っ先に思い浮かぶのは産業革命のイメージだろう。石炭を動力とする蒸気機械や鉄道、煙突が代表的だ。

しかし、一般には最新技術や現代世界と結びつけられてきた業界にも、もうすぐこの表現が当てはまるようになる。

2019年10月はオランダのウィルヘルミナ女王が、ある小さな航空会社に「王立」の称号を付与してから100年に当たる。

その後、KLMオランダ航空は欧州有数の規模を誇る航空会社に成長。航空業界で最も象徴的なブランドのひとつになった。

変化が激しく財務面も不安定なことで知られる航空業界にあっては驚くべきことだが、こうした初期の英雄的な時代に誕生した航空会社のうち、かなりの数が元の形で存続している。

以下では、今なお営業を続ける歴史の長い航空会社10社を挙げる。

1.KLMオランダ航空

設立:1919年

初フライト:1920年5月

開業初年の旅客数:440人

2018年の旅客数:3420万人

かつて世界最大規模の商船団を保有していたオランダ。そんな国にふさわしく、オランダは世界に先駆けて有力な国営航空会社を設立した。

運航開始当初の背景に、アムステルダムと当時のオランダ領東インドを結ぶ必要性があったことは確実だろう。

正式な設立は1919年10月だが、初運航は20年5月となった。4人乗りのデ・ハビランドDH16が、かつて英ロンドンにあったクロイドン空港へ向けて初フライトを行った。

2.アビアンカ航空


アビアンカ航空。1919年設立/JUAN MABROMATA/AFP/Getty Images

設立:1919年

初フライト:1919年

2018年の旅客数:3050万人

コロンビアのバランキージャで1919年、ドイツ移民によって設立された。当初の社名は「SCADTA」で、ユンカースF13型機を運航していた。

30年代後半に世界大戦が近づくなか、SCADTAは米政府にとって懸念材料に。ドイツとのつながりから安全保障上の影響を危惧されるようになった。

49年にコロンビアの同業他社SACOと合併し、現在の社名を採用。さらに近隣諸国の航空会社を吸収し、今日では中南米最大規模の航空グループになっている。

3.カンタス航空


カンタス航空。1920年設立/Qantas

設立:1920年

2018年の旅客数:5530万人

カンタス(QANTAS)が「Queensland and Northern Territory Aerial Services(クイーンズランド・北部準州航空サービス)」の略称であることを知っている人は、オーストラリア国外ではほとんどいない。

その名が示すように、当初の目標はオーストラリア北部に広がる熱帯の過疎地域でサービスを提供することだった。

最初に使用したのは第1次大戦前の複葉機アブロ504で、操縦士と旅客1人ずつを乗せることができた。

第2次大戦後はオーストラリア政府によって国有化され、90年代に再び民営化された。

現在も事実上のフラッグキャリアであるとともに、同国最大の航空会社であり、世界的な知名度を誇る。

4.アエロフロート


アエロフロート。1923年設立/Stanislav Sergeev/Alamy

設立:1923年

初フライト:1923年7月

2018年の旅客数:5570万人

初フライトはモスクワ発ニジニノブゴロド行きの便で、ユンカースF13に6人(乗客4人、乗員2人)を乗せた。これを端緒にソ連、そしてロシアを代表する航空会社に発展を遂げていった。

最初の社名は「ドブロリョート」だったが、32年にアエロフロートに改称。ソ連政府はこの時、すべての民間航空機を単一の組織の下に集約することを決定した。

第2次世界大戦後は世界最大の航空会社に。56年にはツポレフ社のTu104を導入した。Tu104はジェット旅客機として成功を収めた初の機種と考えられている。

ソ連と同様に90年代に入ると解体され、多数の地域航空会社に分割された。中核的な部分はロシアの管理下に入り、現在も国有となっている。

5.チェコ航空(CSA)


チェコ航空(CSA)。1923年設立/MICHAL CIZEK/AFP/Getty Images

設立:1923年

初フライト:1923年10月

2018年の旅客数:290万人

建国間もないチェコスロバキアの国営航空会社として発足した。第2次世界大戦で活動が途切れたが、戦後の共産党政権によって復活を遂げた。

57年にはソ連製のTu104Aを就航させ、ジェット旅客機の運航を手掛ける航空会社としては英国海外航空(BOAC)とアエロフロートに次ぐ3社目となった。

旧東側諸国の多くの航空会社と同様、90年代に入ると改称、再編、現代化を経た。現在はチェコのトラベル・サービス社が株式の過半数を保有している。

6.フィンエアー


フィンエアー。1923年設立/Courtesy Finnair

設立:1923年

初フライト:1924年3月

2017年の旅客数:1320万人

フィンエアーの航空会社コード「AY」は、1953年の改称前の社名「アエロ・オイ(Aero O/Y)」に由来する。

最初の12年間は水上機のみを運航した。フィンランドの国土が湖や入り江に覆われていることを考えると、論理的な選択だったと言える。

83年、欧州の航空会社として初めて東京行きの直行便を運航。その5年後には、欧州と中国を直行便で結ぶ当時唯一の欧州航空会社になった。フィンエアーは、ヘルシンキの位置や北極圏を経由するルートなどのお陰で、欧州とアジアを最短で結ぶ航空会社の地位を固めることができた。

7.デルタ航空


デルタ航空。1924年設立/DANIEL SLIM/AFP/AFP/Getty Images

設立:1924年

2018年の旅客数:1億9250万人

デルタ航空は農薬散布を担う米南部の小さな企業から、見方によっては世界最大ともいえる航空会社に成長を遂げた。   世界一流の地位を固める原動力となったのは、企業としての2つの意思決定だ。90年代初頭にパンアメリカン航空の東海岸路線と欧州路線を買収。2008年にはノーウエスト航空と合併した。

8.タジキスタン航空(2019年1月に運航停止)

設立:1924年

2017年の旅客数:35万6000人

タジキスタンは旧ソ連を構成していた共和国で、中央アジアの山岳地帯に位置する。自動車や列車の導入前に航空機が到来した数少ない国の1つとみられる。

タジキスタン航空は数十年にわたりアエロフロートの地域子会社という位置付けで運営されていた。

単独での事業開始は24年。90年代初頭に国と時を同じくして独立を取り戻した。

9.エアセルビア


エアセルビア。1927年設立/ANDREJ ISAKOVIC/AFP/Getty Images

設立:1927年

2017年の旅客数:262万人

エアセルビアの母体となったのは、ユーゴスラビアを代表する複数の航空会社だ。27年にアエロプットとして創業し、48年からはJat航空となった。

Jatは冷戦中に広範な路線網を築き、ユーゴ解体後はセルビアのフラッグキャリアになった。

2013年にエティハド航空が株式の49%を取得。大規模な資本再編とともに再ブランド化に取り組み、エアセルビアという新社名の採用が決まった。

10.イベリア航空


イベリア航空。1927年設立/Jasper Juinen/Getty Images

設立:1927年

初フライト:1927年

2017年の旅客数:5490万人

もともとは民間企業だったが、事業開始から間もなく政府傘下に置かれ、スペインの首都マドリードとバルセロナの間で郵便配送を担った。

1930年代初めに一時的に営業を停止した後、スペイン内戦時にナショナリスト派の手で復活した。戦後は政府の管理下に入ることが確定し、スペインのフラッグキャリアとして発展を遂げた。

2001年の民営化を経て、10年にブリティッシュ・エアウェイズと統合。インターナショナル・エアラインズ・グループを発足させた。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。