ロボット画面で医師が死の宣告、家族は動揺 米カリフォルニア州

ロボットの画面越しに患者の死が近いことを告げた病院の対応が物議を醸している/Courtesy Quintana Family

2019.03.11 Mon posted at 14:20 JST

(CNN) 米カリフォルニア州の病院で死亡した男性の遺族が、ロボットの画面に映し出されたライブ中継を通じて、医師から男性の死が近付いていることを告げられたと訴えている。

アナリシア・ウィルハームさんは4日夕、米カリフォルニア州フレモントにある病院の集中治療室で祖父(78)に付き添っていた。そこへロボットが入って来て、医師の姿が画面に映し出され、治療のためにできることはもう何もないと告げられたという。祖父は翌日、亡くなった。

ウィルハームさんはCNNの取材に対し、「もっと尊厳を持って対応してほしかった」「孫や家族が私のような経験をすることがあってはならない」と訴える。

祖父がもう長くないことは、家族にも分かっていた。それでもこんな告げられ方をした対応には怒りを覚えたとウィルハームさんは言う。

病院側はCNNに寄せた談話の中で、「医師や看護師は常に患者や家族と面会してコミュニケーションを取っている」と説明。ウィルハームさんが見たという中継映像については「その前に医師が行った診察のフォローアップだった。患者や家族とその前に交わした会話に入れ替わるものではなく、診断の内容を伝えるために使われたわけではない」としている。

祖父は何年も前から、呼吸困難の症状を引き起こす慢性閉塞性肺疾患を患っていた。この日は医師が肺の状態を調べる検査を実施。ウィルハームさんは同日夕刻、自分の母と祖父の妻(58)に、休息をとるよう促して帰宅させていた。

そこへロボットがやって来て、画面に映った医師が話を始めた。付き添ってきた看護師は無言だった。この医師が誰で、どこにいるのかは分からなかった。ウィルハームさんは医師の言葉をスマートフォンで録画した。

在宅でのホスピス療養を勧められたという祖父のエルネスト・キンタナさん

画面の中の医師は祖父に向かって、「残念ですが、効果的に治療できる方法はありません」と語りかけ、もっと楽になれるよう、モルヒネを投与することは可能だが、そうすると呼吸は一層困難になると説明、在宅でのホスピス療養を勧めると告げた。

ウィルハームさんは、この時点で母と祖母に電話して、病院に戻るよう促したという。「(病院にとって)、祖父の妻がその場にいないことはどうでもよかった」とウィルハームさんは訴える。

祖母が戻ったところでロボットについて病院に尋ねると、小さな病院なので、夜間の巡回にはロボットを使っていると説明されたという。

病院の広報はこれについて、「患者との交流にテクノロジーをどう取り入れるのが最善かについて、継続的に学んでいる」としたうえで、「ロボット」という言葉は「不正確で不適切」と付け加えた。

ウィルハームさんによると、この日の昼間、祖父に面会した医師は、祖父の手を取って話しかけ、ホスピス治療や選択肢について丁寧に説明してくれたという。

病院の広報は、患者と医師や医療従事者との対面に代わる手段としてテクノロジーの利用を奨励しているわけではないと述べ、「ご家族の期待に沿えなかったことを遺憾に思います」と話している。

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