家父長制の象徴? 日本女性が義理チョコ離れ、それでも買い続ける理由は

欧米では2月14日といえば、男性が恋人に花束やチョコレートなどを贈ってディナーに誘うのが一般的/shutterstock

2019.02.14 Thu posted at 14:47 JST

香港(CNN) バレンタインデーには女性から男性にチョコレートを贈るという日本で長年続く習慣に対し、女性たちが背を向け始めている。

日本では、職場では女性が男性の同僚に「義理チョコ」を配る、恋人や意中の相手には心を込めて「本命チョコ」を贈る、と期待されている。

欧米では2月14日といえば、男性が恋人に花束やチョコレートなどを贈ってディナーに誘うのが一般的。

「(日本の)バレンタインデーは、引っくり返されて日本の家父長制の象徴となった」。日本事情に詳しいテンプル大学のジェフ・キングストン氏はそう語る。

しかし出費を強いられるこの習慣に対して、女性たちが背を向けるようになった。

東京の百貨店が女性を対象に行ったアンケート調査では、60%がバレンタインのチョコは自分自身のために買うと回答。男性の同僚にチョコを贈るという女性は35%にとどまった。

日本にバレンタインデーが広まったのは1958年、女性から男性にチョコを贈ろうと呼びかけたメリーチョコレートの宣伝キャンペーンがきっかけともされる。

1980年代になると、チョコレート会社が仕掛けて3月14日がホワイトデーとされ、男性がお返しを贈るようになった。それでもキングストン氏によれば、女性はもらうチョコレートよりも贈るチョコレートの方が多くなりがちだという。

チョコレート業界にとってはどちらの日も大盛況をもたらす。名古屋国際センターによると、バレンタインデーの売り上げは、日本の年間のチョコレートの売り上げの4分の1を占める。

東京では9日、「革命的非モテ同盟」が今年で12回目となるデモ行進を展開

こうした「恋愛資本主義」に抗議して、東京では9日、「革命的非モテ同盟」が今年で12回目となるデモ行進を展開。企業がバレンタインデーのようなイベントを利用して過剰消費文化を押し付け、恋人のいない人に罪悪感を持たせているとして抗議の声を上げた。

職場では、バレンタインにもらったチョコレートの数で自分の価値が決まると思い込む従業員もいると同グループは主張する。

そうした理由から義理チョコを禁止する企業もある。上智大学のクッキ・チュー氏は言う。「人気のある男性ばかりがチョコをもらえば、それ以外の従業員の士気は下がる」「それは会社の雰囲気にも影響する」

日本ではバレンタインと無縁の人も増えている。国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査によると、50歳までに結婚したことのない男性は過去最高の23%、女性は14%に上った。 そうした影響もあって、友人にチョコを贈る「友チョコ」の新トレンドも浮上しているという。

しかしそれもチョコレート会社にとっては、パッケージだけ変えて販売を維持しようとする宣伝戦略にすぎないとチュー氏は指摘している。

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