ベネズエラ首都で大規模デモ、軍の動向に注目

反体制派のデモの様子=2日、カラカス/Federico Parra/AFP/Getty Images

2019.02.04 Mon posted at 12:03 JST

ベネズエラ・カラカス(CNN) 南米ベネズエラの首都カラカスで2日、大統領支持派と反体制派がそれぞれ大規模デモを行った。マドゥロ大統領は依然強気の姿勢だが、国内外から退陣を迫る圧力が強まる中、軍高官や大使の離反も相次ぎ、今後の軍の動向が注目される。

マドゥロ大統領はカラカスで開かれた集会で、「たとえ相手が我々の愛するベネズエラに干渉しようとしたとしても、我々には神聖な母国を守る用意がある」と力説した。

一方、ベネズエラの駐イラク大使、ジョナサン・ベラスコ氏は、自ら暫定大統領就任を宣言したフアン・グアイド国会議長を支持すると宣言。グアイド氏はベネズエラ国内外に向けて、平和的な抗議運動を通じて支持を表明するよう呼びかけている。

カラカスではグアイド氏の呼びかけに応え、数万人がデモに参加して早期の選挙実施を訴えた。

ベネズエラでは食料や医薬品が不足して経済は混乱状態に陥り、マドゥロ大統領が民主主義を踏みにじっているとして国際社会の非難が強まっている。

グアイド氏は2日の集会で、ベネズエラへ向かうはずの国際支援物資は、コロンビアとブラジルおよびカリブ海の島の3カ所で足止めされるだろうと語った。

これについて米駐在の野党代表、カルロス・ベッキオ氏はCNNの取材に対し、「ベネズエラ国民は食料や医薬品の欠乏に苦しんでいる。だがマドゥロはこの食料や医薬品の搬入を許していない」と話していた。

カラカスではマドゥロ氏の支持者もデモを行った

一方、2日にはマドゥロ大統領支持派も、前任者だった故チャベス政権の誕生から20年を記念する行事を行った。

マドゥロ大統領は「ベネズエラに独裁政権は存在しない」と強調し、分断解消に向けた対話に乗り出す姿勢を強調。議会選挙の前倒しについても検討していると述べ、年内にも選挙を実施するとの見通しを示した。

ただし、野党が要求する大統領選挙の前倒しには応じない姿勢で、「私がこのベネズエラ・ボリバル共和国の大統領だ」と強調した。

政権支持派と反対派の双方が大規模デモを行う中で、軍の出方に注目が集まっている。

ベネズエラ空軍高官のエステバン・ヤネス・ロドリゲス氏を名乗る男性は2日、インターネットに投稿した動画で、軍を離反してグアイド氏を支持すると表明した。

男性はビデオ声明の中で、軍の90%はもはやマドゥロ氏を支持していないと主張。「軍に対して国民の抑圧を命令し続ければ、飢えや病気による死者が増える」と述べ、軍の同僚に対し、ベネズエラ国民に背を向けてはいけないと訴えている。

ベネズエラ軍では、1週間前にも米首都ワシントンに駐在するホセ・ルイス・シルバ武官がグアイド氏支持を表明していた。

一方、マドゥロ大統領は首都カラカスの集会で、民兵組織のメンバーや若者に対しても軍に加わるよう呼びかけている。

米国など十数カ国はグアイド氏を承認し、欧州議会は同氏を「正当な暫定大統領」と認定。一方、中国やロシア、トルコなどはマドゥロ大統領支持を表明している。

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