ワシントン(CNN) トランプ米大統領はメキシコ国境に壁を建設する必要性を改めて訴えるため、8日夜にテレビ演説を予定している。さらに10日には自ら国境を訪問する。
テレビ演説は米東部時間午後9時(日本時間9日午前11時)からの予定。米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じ、トランプ氏自身が7日午後、「南部国境における人道、国家安全保障の危機について、国民に向け演説する」とツイートした。
情報筋によると、ホワイトハウス内部では1週間ほど前からテレビ演説の案が検討され、トランプ氏自身も先週末、演説したいとの意向を側近らに伝えていた。
ただし今のところ、テレビ局側が放送時間の確保に応じるかどうかは明らかでない。
10日の国境訪問は、ホワイトハウスのサンダース報道官が7日午前、ツイッターで発表した。トランプ氏は現地で国境警備当局の職員らと面会する予定。訪問はしばらく前から検討され、いったん先週の日程に決まっていたが今週に延期されたという。
米国ではトランプ氏が要求する壁建設の予算をめぐって与野党が対立し、連邦政府機関の一部閉鎖が3週目に入っている。
事情に詳しい2人の関係者によると、トランプ氏の周辺ではこのところ、不法移民に対する同氏の主張が国民の共感を得ていないと懸念する声が上がっていた。
壁建設の必要性を訴えるために、ツイッターへの書き込みや発言を繰り返すだけでは不十分だと指摘する側近もいたという。「壁を建てよう」というスローガンは大統領選で大きな支持を集めたものの、今では使い古されて威力を失い、政府閉鎖の事態を打開するだけの切迫感に欠けるとの意見もある。
トランプ氏はこうした声を受け、国民に改めて壁の必要性をアピールする作戦に出ているようだ。
年明けから下院の多数党となった野党・民主党は、壁建設への予算計上を断固拒否している。これに対してトランプ氏は、壁の予算が確保できなければ政府閉鎖が何カ月間も、あるいは何年間も続くことになると警告している。
政府閉鎖が長引くにつれ、国民生活への影響も目立ってきた。連邦機関では数十万人の職員が一時休職になったり、無給で働いたりしている。全米の主要空港で保安業務を担う運輸保安局(TSA)の職員が欠勤し、国立公園の管理状態も悪化している。
世論調査では、国民の過半数が壁の建設に反対との結果も出ている。
トランプ氏、国境の壁めぐり演説へ