ニューデリー(CNN) インド南部のケララ州で、長年にわたって女性の立ち入りを禁止してきたサバリマラ寺院に女性2人が参拝したことをきっかけに暴動が起き、少なくとも1人が死亡、参拝を決行した女性は身を隠す事態になっている。
インド最高裁は昨年9月、10~50歳の女性の立ち入りを禁じた同寺院の措置は差別に当たると認定し、女性の参拝を認めるよう命じる判決をいい渡した。この判決を受け、42歳と44歳の女性が今月2日、初めてサバリマラ寺院を参拝した。
警察は3日、この2人が家族と一緒に身を隠していることを明らかにした。2人は12月にも同寺院への立ち入りを試みたが、この時は強硬派の暴徒に阻まれて参拝を断念していた。
2人が参拝した2日には再び抗議運動が激化、警察は催涙ガスや放水を使って、女性参拝の賛成派と反対派を引き離した。
警察によると、この暴動で女人禁制の継続を訴える与党インド人民党(BJP)のデモ参加者が、反体派の投げた石が頭に当たって2日夜に死亡したほか、警官1人を含む4人が負傷。警察は殺人などの容疑で2人を逮捕した。
800年以上の歴史を持つといわれるサバリマラ寺院は、ヒンドゥー教で成長の神とされるアイヤッパ神をまつる寺院で、月経年齢の女性を「不浄」と見なして立ち入りを認めていない。
しかし、裁判所が女性の立ち入りを認めるよう命じる判決を言い渡して以来、女性の参拝を妨害しようとするデモ隊が寺院周辺に詰めかけ、数カ月にわたって衝突が続いてきた。
警察は女性参拝者の身の安全を守るために1300人の警官を配備したが、ヒンドゥー教の伝統を理由に参拝を妨害する数千人に圧倒され、これまで参拝は実現していなかった。
2日に参拝した女性2人は、支援団体の関係者に付き添われ、山間部を抜けて同日未明、闇に紛れて同寺院に入ることに初めて成功した。
これを受けて同寺院の僧侶らは、境内を「清める」作業のため、同寺院を一時的に閉鎖した。
今回の問題は、ケララ州与党のインド共産党マルクス主義派(CPIM)と、国政与党BJPとの対立に発展している。インドのモディ首相は2日、男性の立ち入りを禁止している寺院もあると述べ、女人禁制を支持する姿勢を示した。
ケララ州では先に、500万人もの女性が集まって「女性の壁」ををつくり、両性の平等と女性の自由な参拝を訴える抗議運動を展開。「壁」の全長は推定620キロに及んだ。この運動はCPIMも後押ししていた。
ケララ州の当局者は、今後も警察が同寺院を参拝しようとする女性の身を守ると表明した。最高裁では今月、命令の取り消しを求める訴えについて審理が行われる。