米、イラン製兵器を公開 イエメン反政府派に供与

イエメン内戦でイランが反政府武装組織に供与したという兵器が公開された/CNN

2018.12.06 Thu posted at 18:30 JST

ワシントン(CNN) 米国防総省は6日までに、イエメン内戦でハディ暫定政権側と交戦する反政府武装組織フーシに対しイランが供与したとされるミサイルや小型無人飛行機(ドローン)の現物や残骸などをCNNに公開した。

米国防情報局(DIA)の本部近くにある首都ワシントンのアナコスティア・ボーリング統合基地での措置で、昨年も同基地で実施された。

キャティ・ホイールバーガー国防次官補代理(国際安全保障問題担当)は記者団に公開の狙いに触れ、イランが及ぼす脅威の教示と強調。イランが不安定と混沌(こんとん)を地域にもたらす活動の一端を示す機会となると指摘した。

同省当局者は、ミサイルに通常用いられる安定化装置の欠如や他の設計面での特色はイラン製であることの証拠と主張。この種のミサイルは世界でイランのみが製造しているとした。

また、誘導装置部分もイラン製の証左と指摘。また、イランの国営企業「シャヒド・バゲリ・インダストリーズ」が手掛けたことを示す品質保証の刻印が見られるミサイル内部構造の画像も紹介した。

「サイヤード2」としても知られるイラン製の地対空ミサイルも公開され、サウジアラビアが今年初期、積み出し用の木箱内にあったのをイエメンで押収したとした。ドローン「カセフ1」の2機も展示された。サウジの国際空港を含む複数の標的を攻撃した後、回収したという。

さらにフーシ向けだけでなく、アフガニスタン内で米軍主導の多国籍軍が2016年10月に入手した別のドローン「シャヘド123」も並べた。同機の装置解析でイラン内を離陸し、アフガン内の米軍やアフガン軍の複数の軍事施設上空を飛行したことが判明したという。

アフガニスタン国内を飛行したとみられるイランのドローン「シャヘド123」

米国防総省当局者は、イランはアフガンの他、バーレーン、イラク、シリアやイエメンの武装勢力に小火器類なども渡していると主張。これら武器はイエメンへ向かう途中にアフガンなどで発見され、バーレーンではイスラム教シーア派の武装勢力から回収された。バーレーンで奪った兵器には対戦車ミサイル、自動小銃AK47、狙撃銃、機関銃やロケット弾などが含まれていた。

米国はイエメン内戦で、ハディ暫定政権を後押しし、軍事介入にも踏み切ったサウジ主導の有志連合軍を軍事情報の一部提供などで支援。これに対し、フーシはサウジにミサイル攻撃を仕掛けるなどしている。米国防総省当局者によると、これらのミサイル攻撃は昨年7月以降、これまで少なくとも8回記録した。

トランプ米政権はイランの核開発問題に絡む国際合意から離脱し、凍結していた経済制裁を再開するなどしてイランへの圧力を高めている。ただ、反体制派のサウジ人記者の殺害事件を受け、米連邦議会内ではイエメン内戦でのサウジ有志連合軍への支援中止を求める声が強まっている。国連は、イエメンは世界最悪の人道危機に直面し、住民約1300万人が餓死の危機に瀕(ひん)しているとも強調している。

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