ヒトラーとユダヤ系少女の写真が競売に、130万円で落札

ユダヤ系の少女と一緒にヒトラーが写った写真が競売にかけられた/Alexander Historical Auctions

2018.11.18 Sun posted at 17:49 JST

(CNN) ナチス・ドイツのヒトラーが「恋人」とも称していたユダヤ人の祖母を持つ少女と仲むつまじく交歓する様子の写真が米国でこのほど競売に付され、1万1520ドル(約130万円)で落札された。

落札者の身元は明かさない方針。ただ、競売元の米企業「アレクサンダー・ヒストリカル・オークションズ」の幹部は外国人と明かした。

同社によると、この少女の名前はローザ・ベルニーレ・ニーナウさん。17歳だった1949年10月5日、ポリオを患い病院で死去していた。

1933年4月20日、ヒトラーがドイツ南部ババリア地方に保有していた別荘で誕生日を祝っていた際、ニーナウさんは母親と共に家屋外に集まった群衆の中にいた。

ヒトラーがニーナウさんの誕生日も同じ日と知った後、即座に心を奪われ、交流が深まったという。ヒトラーが信頼する写真家ハインリヒ・ホフマンが2人一緒の写真を撮影してもいた。

ヒトラーは写真の1枚に「親愛なるローザ・ニーナウ」などの文字を自ら記し、同年6月16日、ミュンヘンにいたニーナウさんの母親に届けてもいた。

アレクサンダー・ヒストリカル・オークションズ社は出品品目の写真説明の中で調査結果に触れ、「ヒトラーは早い段階でニーナウさんのユダヤ系の出自は承知していたが無視した。個人的もしくは政治宣伝の理由のためだった」とした。

その後、ヒトラー側近のマルティン・ボルマンがニーナウさんがドイツ人の「純潔」な系統にはないことを見付け、母娘がババリアの山荘に近付くことを禁じた。しかし、ニーナウさんとヒトラーの文通はボルマンが恒久的な禁止措置を講じた1938年まで続いたという。

ヒトラーの署名部分を拡大したもの

ニーナウさんがヒトラーに送った書簡のうち17通はドイツの連邦公文書館に保管されている。

同社は数カ月間にわたり写真の真偽を調査。ヒトラーは子どもを愛する親切な人物と印象付ける政治宣伝の材料になった可能性があるとした。ホフマンは写真撮影だけでなく宣伝作業にも巧みで、ヒトラーを多くの前向きの観点から描く手助けもしていたとした。

競売に出品された写真について同社の販売担当幹部は管理権はあるものの米国への流出経路は実際に謎だらけと説明。確実なのはドイツで誰かが保有していたことだと述べた。

アレクサンダー・ヒストリカル・オークションズ社によるヒトラーの遺品などの競売への出品は今回が初めてではない。昨年は第2次世界大戦終結前の2年間、多くの命令事項を伝えていた電話機が競売に付され、24万3000ドルで落札されていた。

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