「自由世界のリーダー」 メルケル独首相、与党党首を退任へ

ドイツのメルケル首相。与党党首を退く意向を表明した/Sean Gallup/Getty Images

2018.10.30 Tue posted at 10:11 JST

(CNN) 米国がドナルド・トランプ大統領の時代にあって内向き指向を強める中で、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は自由世界のリーダーとみなされてきた。

欧州最大の経済大国ドイツを13年にわたって率いてきたメルケル首相が29日、中道右派の与党キリスト教民主同盟(CDU)党首を退く意向を表明した。

メルケル首相は「次の連邦党大会では党首選に出馬しない。首相には立候補せず、その他の公職にも出馬しない」と言明した。

首相としての任期はあと3年残っている。しかしCDUでも連立を組む社会民主党(SPD)でも右派と左派が対立を強める中、CDUの後継争いと相まって、ただでさえ不安定だった連立政権の動揺が一層深まるのは必至だ。

元科学者のメルケル首相は、旧ソ連の影響下にあった東ドイツ出身で、ベルリンの壁が崩壊した後、35歳で政界入り。1990年に議員に選出され、2002年にCDU党首となって、05年には女性として初めて首相に就任した。

当初は決断力や発言力に欠けると批判する声もあったが、ドイツの経済成長に伴ってメルケル首相の人気も上昇。トランプ氏が「(ドイツは)ロシアに完全コントロールされている」と言い放った際は、共産党政権下で育った経験をバネに、そうした発言をはねつけた。

2015年にはシリアなどからの難民100万人以上の受け入れを表明し、批判に対しては「対応できる」と応じていた。

メルケル首相の辞任表明で、英国のメイ首相やフランスのマクロン大統領にも影響が及びそうだ

メルケル首相の辞任表明は、欧州のもう一人の女性指導者である英国のメイ首相や、人気がかげりつつあるフランスのマクロン大統領にとっても打撃を与えそうだ。

オーストリアやブラジルなど世界各国で極右が台頭する中で、ドイツで再び自由社会のリーダーが首相に就任するかどうかに注目が集まっている。

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