ニューヨーク(CNN) 米紙ニューヨーク・タイムズは、グーグルが性的不法行為を理由に退職した経営幹部3人に対し、多額の退職金を支給していたことが分かったと伝えた。
グーグルは25日、従業員に宛てたメールの中で、セクハラを理由に解雇された従業員が過去2年で48人に上ることを公表し、「安全でインクルーシブな職場」づくりに真剣な姿勢で取り組むと表明している。
従業員宛てのメールはサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)とピープルオペレーションズ担当副社長アイリーン・ノートン氏の連名で送信され、同社広報を通じてCNNが入手した。
ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、スマートフォンOS「アンドロイド」を開発したアンディ・ルービン氏を含む元経営幹部3人が性的不法行為で告発されたことについて、グーグルは沈黙を通していた。ルービン氏は2014年にグーグルを退社。同氏については、まだグーグル社員だった当時の不適切な関係について、グーグルが調査していると別のメディアが伝えていた。
ニューヨーク・タイムズはルービン氏について、グーグルを退社する際に9000万ドル(約100億円)の退職金が認められていたことが分かったと報じた。ルービン氏は不倫関係にあった女性従業員に対して、2013年にホテルの一室で性的行為を強要したと訴えられていたといい、グーグルは調査の結果、女性従業員の訴えには信憑(しんぴょう)性があると判断。当時のラリー・ペイジCEOがルービン氏に退社を促したという。
グーグルからルービン氏への退職金支払いは、来月で最後になる予定だと同紙は伝えている。
上級副社長だったアミット・シンハル氏は、2015年の社外イベントで女性従業員に痴漢行為をしたとして告発され、数百万ドルの退職金を受け取って退社したという。シンハル氏は米配車大手ウーバーに転職したが、1カ月後、セクハラを理由にグーグルを辞めたと報じられたことを受け、ウーバーも退社した。
今回の報道では、女性従業員よりも影響力の強い男性の方を優遇するグーグルの姿勢に対して疑念を投げかけている。グーグルの親会社アルファベットの最高法務責任者と、ベンチャーキャピタルファンド、キャピタルGの会長を兼任するデービッド・ドラモンド氏も、グーグルの法務責任者だった当時、部下の女性と不倫関係にあったとされる。
2人の不倫関係は、2007年に子どもが生まれたことで明るみに出た。相手の女性、ジェニファー・ブレイカリー氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、「私たちのどちらか一方が法務部門を出なければならなくなった」「それがデービッドでないのは明らかだった」と告白。ブレイカリー氏は異動になり、翌年、グーグルを去った。
グーグル共同創業者のサーゲイ・ブリン氏も、2014年まで従業員と不倫関係にあったとして名指しされている。
グーグル従業員宛ての電子メールによると、過去2年の間にセクハラを理由に解雇された48人のうち、13人は管理職以上の幹部社員だった。いずれも退職金は支給しなかったとしている。
このメールでは、ニューヨーク・タイムズに報じられたルービン、ドラモンド、シンハルの3氏については言及していない。
ルービン氏の弁護士はCNNビジネスの取材に対し、ニューヨーク・タイムズの報道内容を全面的に否定した。