ロヒンギャ問題 国連調査団が報告書、軍幹部の刑事訴追を勧告

国連調査団がロヒンギャ問題をめぐり報告書を発表し、ミャンマー軍幹部を刑事訴追するよう勧告した/STR/AFP/AFP/Getty Images

2018.09.19 Wed posted at 19:04 JST

(CNN) ミャンマー西部ラカイン州でイスラム教徒の少数派ロヒンギャが受けた迫害について、国連の調査団が18日、詳細な報告書を発表し、国軍幹部らを国際法廷で裁くよう勧告した。

報告書は440ページに及び、人権問題を扱った国連の調査では過去最大級の規模となった。調査団も、かつてないほど広範に及ぶ報告書だと強調した。

団長を務めたマルズキ・ダルスマン氏は声明でミャンマー国軍を非難し、国軍が法の裁きを受けない限り平和は実現しないと断じた。「ミャンマーが現代民主国家として発展するうえで、国軍は最大の妨げになる」と述べ、ミンアウンフライン最高司令官以下、現幹部を全員追放したうえで、軍を文民統制下に置くために全面的な改革を断行する必要があると訴えた。

ダルスマン氏は、国軍がラカイン州での作戦で、組織的に女性や子どもら民間人を狙い、性暴力を加え、少数派に対する排他的、差別的な評判を広めて、兵士らの残虐行為を容認する風潮をつくり出したと主張した。「今までにこれほど恐ろしい、大がかりな犯罪に直面したことはない」と強調し、軍の幹部をジェノサイド(大量虐殺)の罪で捜査、訴追するべきだと語った。

調査団はラカイン州への立ち入りを許されなかったが、被害者や目撃者ら計875人を対象に聞き取り調査を実施し、衛星写真などの証拠を調べた。

報告書は、強姦や性暴力が市民をおびえさせ、罰するための戦術として使われたと結論付けている。

報告書はまた、ラカイン州が危機に陥る前の段階で、国連が行動を起こさなかったことを批判。問題を提起しようとした現地スタッフが無視されたり、妨害されたりしていると感じたケースが多いと指摘した。

さらに事実上の政権トップ、アウンサンスーチー国家顧問が国軍を止められなかったとの批判も展開した。

そのうえで国連安全保障理事会に対し、国際刑事裁判所(ICC)に付託するか、特別国際法廷を設置するよう求めた。軍幹部らに対する渡航禁止、資産凍結などの制裁措置と、ミャンマーへの武器禁輸措置も提言している。

調査団のメンバーによると、ミャンマーではラカイン州だけでなく、北部カチン州と東部シャン州でも、民族や宗派に基づく民間人の殺害や強姦、拘束などが横行しているという。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。