世界の飢餓人口が増加、気候変動など影響 国連報告書

アフリカ北東部のスーダンで農業に従事する女性/Gabriela Vivacqua/WFP

2018.09.12 Wed posted at 18:27 JST

(CNN) 世界の飢餓人口はかつての減少から増加に転じ、10年前のレベルに戻りつつあることが、国連による最新の報告書で分かった。増加の主な原因は、気候変動が農業に及ぼす影響とみられる。

国連は11日、世界の食糧安全保障と栄養の現状に関する2018年版の報告書を発表した。

それによれば、17年の飢餓人口は8億2100万人と、16年の8億1500万人からさらに増加した。世界人口の9人に1人が栄養不足に陥っていることになる。

アフリカのサハラ砂漠以南では、飢餓人口が10年の1億8100万人から16年には約2億2200万人と、6年間に22.6%も増加。17年はさらに2億3600万人を超えた可能性がある。

報告書は国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)の5機関が毎年、共同で発表している。

国連は「持続可能な開発目標」の1つとして、30年までに飢餓をゼロにすることを目指してきた。しかしこのままでは目標達成が難しいと、報告書は指摘する。

子どもの発育不全や大人の肥満など、さまざまな形の栄養不良にも大きな改善はみられなかった。

気候変動に伴う降雨パターンの変化は農期に影響を及ぼし、飢餓人口の増加を招く

栄養不足のために身長が標準を下回っていた5歳未満の子どもは17年に1億5100万人と、12年の1億6500万人からは減少した。

17年の統計で体重が標準を下回っていた子どもは5050万人だった。

世界の発育不全の子どものうち、アフリカが39%、アジアが55%を占めている。

報告書によると、南米とアフリカのほとんどの地域で事態が悪化する一方、アジアでの栄養不良は目立って改善していた。

飢餓人口が増えているのは紛争や経済停滞の影響もあるが、最大の原因は気候変動が雨の降り方や農期に及ぼす影響と、干ばつや洪水などの異常気象だという。報告書によれば、異常気象の多い国は飢餓人口が特に多い傾向がある。

気候変動で穀物などの生産量が減少し、その流れは今後さらに悪化すると予想される。

飢餓ゼロの目標を達成するためには、気候変動に対応できる食料供給や暮らし方への切り替えを加速させる必要がある。報告書はさらに、気候変動の影響を緩和して災害のリスクを低下させる政策への努力も呼び掛けている。

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